音の基礎講座1 そもそも音ってなに?

2010.04.14(Wed)

まだオリエンテーションを受けていない方は、こちらを先に読んでくださいませ。

今回は「音の正体」を探っていきたいと思います。

「ウチのダンナが夕食をご一緒しませんかって言ってるのよ、どう?」
というのは「夫の招待」です。

…えーと、ツカミはOK! ということで1時限目の講義を始めます。抗議は受け付けません。
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しょーもない始まり方にあきれ顔のあなたに、いきなり質問です。

「音とはいったい何でしょう?」

えーと、たしか小学校のときに習ったっけ。そうそう、音は「空気の振動」だ。
と、思ったあなた。そう、たしかにそう教わりましたね。では再び質問です。

「それでは「空気の振動」は音ですか?」

あら、逆にするとなんかヘンだな。と、思ったあなた。その通りです。両者はイコールではありません。
「音とは空気の振動である」というのは「テレビとは家電製品である」というのと同じで、大ざっぱな分類にあてはめているだけです。間違いではありませんが、そのもの自体の説明にはなっていません。「夫の招待」ならぬ「音の正体」に迫るにはもっと細かな定義が必要です。

空気だけでなく他の気体でも、水中でも、鉄やガラス等の固体でも音は伝わります。しかしこれらを「媒質」などと言ったらもう拒否反応を示してあちこちにかゆみが出てしまう人がいるだろうし、まあ私たちは主に空気中で生活しているので、便宜上ここでは「空気の振動」と言う事にします。が、本当は空気だけじゃないんだよ、と心のどこかに留めておいてください。
空気中で起こった何らかの振動が空気を押したり引いたりして、空気の密度の高い部分と低い部分が交互に発生し、波のように伝わっていく。これが音を説明するときに言う「空気の振動」です。

しかしまだこれだけでは音とは言えません。音となる条件は「カチョウ」であるかどうかです。

「ボインやでえ~」と唄ったのは月亭可朝、「おめえに喰わせるタンメンはねェ」とやったのは次長課長(の河本クン)ですが、この場合の「カチョウ」は谷啓のギャグ…ではなくて「可聴」です。聞く事ができるかどうか、という事です。

今さら言うのもナンですが、私たちは人間ですから、人間を基準として話を進めていきます。
人間(に限りませんが)は、音程の低すぎる音や高すぎる音、また音量の小さすぎる音や大きすぎる音は聞こえません。あ、いや、音量の大きすぎる音は聞こえないというより、耳が壊れます。

音の高低を示すのは「周波数」です。宗教の中の派閥の数は「宗派数」です。
(…脱線が多くて文章が長くなってきました。すみません、もう少しおつきあいください)
周波数というのは、1秒間に何回の振動を繰り返すのかを示す数のことで、単位はHz(ヘルツ)です。振動回数が多いほど音程は高くなっていきます。
人間の可聴周波数は20Hzから20kHz(キロヘルツ)と言われています。空気の振動が1秒間に20回から2万回の範囲内であれば、音として聞くことができるという事です。ちなみに人間以外の動物のほとんどが人間よりも高い音を聞くことができます。知能が低い動物ほど高い音を聞く事ができる、という説も聞いた事がありますが、真偽のほどはわかりません。

音量を示すのは圧力の単位であるPa(パスカル)です。音とは空気の密度の違いによるものなので、空気の圧力で表すんですね。音の場合は音圧と言ったりします。
あれ? 音量はdB(デシベル)とかPhon(ホン)じゃないの? という人もいるでしょうが、これらはある基準を設けてその基準とどのくらい違うかという、いわば相対的な尺度ですから、絶対的な可聴範囲の説明には使えないのです。(エネルギーの単位でも説明できますが、ややこしくなるので割愛します)で、人間が聞く事の出来る最も小さい音(最小可聴値)は0.00002Pa、音としてではなく痛みを感じるほど大きな音(最大可聴値)は20Paです。あちゃあ、また体がかゆくなってきちゃったよ、というあなたは、こんな風に人間の可聴範囲には限界があって、その範囲内におさまる空気の振動が「音」であるという事だけ覚えておいてください。
(ちなみに、音圧レベルでいうと最小可聴値の0.00002Paが、基準値となる0dBです)

もちろんこれらの可聴範囲には個人差があり、耳の訓練の度合いや精神状態等によっても違ってきます。また、年齢差もあって、人間の耳は25歳くらいから機能低下が始まるといわれ、高齢になるに従って、特に高音が聴き取りにくくなります。若者にしか聞こえない「モスキート音」などという言葉がメディアで話題になったこともありますね。しかし、高い音が聞こえるからといって、若者ほど知能が低い、という事実はありません。

さあ、音の正体が見えてきました。ここまで説明できれば学校の試験では100点でしょう(たぶん)。ただし新旧のお笑い芸人のギャグを織り込みながら説明するのはやめといてください。

えーと、長くなったついでに、ここでもうひとつ音の条件を追加させてください。

「ウチのダンナが夕食をご一緒しませんかって言ってるのよ、どう?」
「・・・」
「ねえ、さはんじさん、聞いてるの?」
「あ、ごめんなさい。何か言いいました?」

この場合の「夫の招待」の言葉を、さはんじさんはまったく聞いていなかったようです。この声はさはんじさんにとっては「音」ではなかった、とは言えないでしょうか。
もっと極端な例をあげれば、誰もいない砂漠の真ん中に巨大な隕石が落ちたとします。隕石が地面に衝突する際に、盛大に空気が振動しました。まあ一般的にいうところの大音響が響き渡った訳ですが、この音を聞く生命体が皆無だったとしたら、この大振動は音であるといえるのでしょうか。
いわゆる「聞く人がいなかった音は、音といえるのか」という問題です。
これは以前からずっと議論されてきたことで、意見の分かれるところなので正解はないのですが、私は音ではないと考えます。可聴範囲内の空気の振動が音なのだから、聞こえなければ音ではない、という事です。
あくまでも私の個人的な意見として、ですが、誰かが聞いて、それを音だと「意識」したときにはじめて、その空気の振動は音であると言えるのだと思います。

最後の最後でちょっと曖昧な説明になってしまいました。でも、この「意識」するという事がとても大切だと思うのです。私たちの周りには無数の音があふれています。それらを意識することで、ちょっと楽しい気分になれたりするのです。

さて、本当に長くなりましたが、これで1時限目の授業は終わりです。
次回は「音の性質」について考えていきたいと思います。

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しょーもない、とあきれ顔のあなたは…無視してください。

2時限目「音って一体どんなヤツ?」を読む

 参考文献はこちら



   


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COMMENT

まーる

φ(.. )

以前、おてがみを書いたときにわたし
「夫の“正体”~」
って書いちゃってましたね(;´▽`A``
「夫の招待」と「音の正体」とがごっちゃになって
何やらミステリアス(?)にしてしまったようです( ̄ー ̄;
今日こちらの記事を読み返していて初めてそのことに気付き
自分でびっくりしちゃいました(笑)。

それにしても・・・
人間の可聴範囲だけで考えても
1秒間に20回とか2万回とか
ものすごい回数の振動が起こっていて
それが“音”として聴こえてた、なんてヽ(゚◇゚ )ノ
なんだかスゴイ話だなぁ、って思ってしまいました。
たとえがおかしいとは思いますが
1秒間に20回、なんて、意識的にはわたし何もできないですし(笑)
空気の振動って普通は目に見えないけれど
その見えないとこで頑張ってるんだなぁ(?)、なんて(ノ゚ο゚)ノ

実は最近、歌を練習する中で
「倍音」ってなんだろう?と思い
(何度か見かけたり、Ryoちゃんからもその言葉聞いたことがあって)
ネットであちこち調べて読んでみたのですが
なんだか今ひとつ良く分からず・・・ヽ(;´Д`)ノ
それで、さはんじさんの「音の基礎講座」を
じっくり読んでみよう、そこからやってみよう、って
そう思ってお邪魔してみました(*゚ー゚*)
さはんじ先生!よろしくお願いしますっ<(_ _)> (笑)

しかし、オリエンテーションに
「飲食自由」
とありましたが
たびたび親父ギャグが飛び出し、吹き出して笑ってしまうので
とても危険な行為だと分かりました(@ ̄Д ̄@;) www
そして、ようかんと間違えてケータイをかじってみたい、とも思った
そんなわたしでした(笑)。

2011.08.12(Fri) 19:05 | URL | EDIT

さはんじ

Re: φ(.. )

>まーるさま
コメントありがとうございます!

音の基礎講座を真剣に読んで頂き、本当にありがとうございます。
元々このカテゴリは、音の基礎を紹介することで、ほんの少しでも音に興味を持ってもらうきっかけになればいいなと思って書いたものです。長文になるのでなるべく飽きないようにと冗談を散りばめ、余計に長文になるというジレンマと戦いながら(^^;、音の基礎と、ちょっと面白そうな音の現象などをまとめてみました。
したがって、きちんと勉強をする、あるいは調べたい、といった目的には向かない記事になっている事も事実です。そういった目的で検索サイトから来てくださる方には申し訳ないなあと、いつも思ってます。

倍音は、概念的には解りにくい類のものだと思います。私も専門家ではないのでなかなか的確に説明することができません(汗)。この基礎講座では、音色を決定する要素のひとつ、くらいの触れ方に留めています。
もしも疑問に思うことがあれば、ご質問ください。できる範囲で(としか言えない所が情けないですが)お答えしますね。

しっかりと記事を読んでくださって、そして何よりも親父ギャグに笑ってくださる、まーるさんはこのカテゴリの最高の読者でありますよ。ホント、書き手としてはこういう冗談(まあ駄洒落ですね)って、スベるのが何よりも怖いですから(笑)。
本当にありがとうございます。


2011.08.13(Sat) 00:00 | URL | EDIT

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