真保裕一「盗聴」

2012.05.09(Wed)


盗聴 (講談社文庫)盗聴 (講談社文庫)
(1997/05/14)
真保 裕一

商品詳細を見る


今回ご紹介する本は、真保裕一のミステリ短編集『盗聴』に収録された表題作「盗聴」です。
短編小説としては長めでボリュームのあるこの作品は、真保裕一らしい緻密かつエンターテインメント性あふれる、社会派ハードボイルド・ミステリです。

とある経営コンサルタント会社が情報漏洩対策のために起ち上げた電波管理部門、主な仕事は盗聴による違法電波を探知し発信源の盗聴器を突き止める、いわゆるフォックス・ハンティングだ。仕事中に偶然みつけた永田町方面からの微弱な違法電波。メンバーの3人は好奇心と金銭目当てのスケベ心から、会社に無断で独自に探査を開始する。その"ハンティング"の最中、モニターしていた盗聴電波から聞こえてきたのは、殺人現場の実況音声だった…。

音に関する本、ということで、またしても盗聴ものです。しかも綿密な取材に定評のある真保裕一が書き上げただけあって、盗聴に関する詳細な情報が無理なく盛り込まれ、リアリティの感じられる作品となっています。

電波管理部門のメンバーが出くわした殺人事件の犯人は? 事件の陰に隠された陰謀とは? そして冒頭に語られる爆弾テロ事件のエピソードはこの殺人事件とどう関連するのか? 等々、幾つもの謎を秘め、息つく間もなく展開するストーリーに引き込まれ、ラストの解決まで一気に読み進めてしまうこと間違いなしの作品です。

ただ、巻末の解説にもあるように、盛り沢山の内容と、登場人物のキャラクターを書き込み過ぎていることもあり、とても短編に収まる作品ではない、ということも否めません。実際、雑誌掲載時よりも大幅に加筆し、単行本化された時は倍近い長さになったそうですが、それでもまだ読後には消化不良気味な印象が残ってしまいます。もちろん全ての謎はきれいに解決しているのですが、これらの登場人物が活躍する物語をもっと読みたかったのに、もう終わりなの? という気になってしまうんですね。それは裏を返せば、非常に魅力的な物語である、ということにもなるのでしょうが、できれば長編でじっくりたっぷり味わいたかった、というのが私の素直な感想です。

でも、(そんな事はないでしょうが)これから長編に書き直されても困ります。
だってもう真相はわかっちゃってるしねえ(笑)。


  よろしければランキング投票をお願いします→ 

COMMENT

POST COMMENT


TRACKBACK

まとめtyaiました【真保裕一「盗聴」】

盗聴 (講談社文庫)(1997/05/14)真保 裕一商品詳細を見る今回ご紹介する本は、真保裕一のミステリ短編集『盗聴』に収録された表題作「盗聴」です。短編小説としては長めでボリュームのあるこの作品は、真保裕一らしい緻密かつエンターテインメント性あふれる、社会派ハード...

2012.05.10(Thu) 01:16 | まとめwoネタ速neo

プロフィール

さはんじ

Author:さはんじ

FC2カウンター

ブログランキング参加中


にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村
ブログランキングならblogram

おきてがみ


足あとを残せます。

アーカイブ

 

検索フォーム

Amazon 特集情報



Google AdSense

まずは「知る」ことが大切


blogram

にほんブログ村ランキング

↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。