あなろぐ懐古ログ 「ヒスノイズ」

2012.07.29(Sun)

さあ、始まりました、新企画「あなろぐ懐古ログ」。
記念すべき第1回は「ヒスノイズ」です。

「hiss noise」の「hiss」とは、「シュー」とか「シー」という音をさす言葉で、そういった高音域の雑音を全般的に「ヒスノイズ」というのですが、ここではアナログ録音テープが発する、いわゆる「テープヒス」と呼ばれる雑音についてお話ししようと思います。

デジタル録音では基本的に「テープヒス」は存在しません。デジタル世代にとっては死語であると言えるでしょうね。しかし、テープを使ったアナログ録音で「ヒスノイズ」が発生することは常識であり、宿命でもありました。長い長いアナログ録音の歴史は、同時に「ヒスノイズ」との戦いの歴史でもあったのです。

カセットテープを使った事がある人ならば、誰もが再生時に「シーーー」という雑音を耳にしていると思います。録音された音楽や声などを聴くときに気になった事がありますよね。何も録音されていなくてもこのヒスノイズは聞こえています。
これは録音テープの磁性体の分布状態や、再生ヘッドとの摩擦などによって発生するらしく、録音テープを使用している以上、避けて通れない雑音なのです。
避けて通れないけど、自分が何かを録音するときはなるべく良い音で録音したい、と思うのが人情というものでしょう。

また、自分で音楽をつくって録音する人はマルチトラックレコーダーなる機材を使用していたりします。色々な楽器や歌などを別々に録音し、あとできれいにミキシングして別のテープに完成品を仕上げる「多重録音」という音楽製作に使われる機材です。こういう人は特に良い音で録音したいと思うのでしょうが、録音トラック数が多ければ多いほど、各トラックのヒスノイズは加算されて大きくなってしまいます。ヒスノイズ対策のために、録音されていない部分のフェーダー(ボリューム)をこまめに下げてミキシングした、なんて思い出のある人もいるでしょう。

録音とは音を記録する事ですが、その記録する情報量が多いほど音質が向上するのはデジタルでもアナログでも同じです。アナログ録音の場合、録音するテープの面積を広くするか、テープの速度を上げれば、記録される情報量が増えて音質は良くなります。同時にヒスノイズも低減します。(ただし無くなることはありません)
つまり、マイクロカセットよりもカセットテープ、カセットテープよりもオープンリールテープレコーダー、一般用オープンリールテープレコーダーよりも業務用マスターレコーダーのほうが音が良く、ヒスノイズも少ない、ということになります。言い方を変えれば、高級品のほうが高音質である、というわかりやすい結論になります。これもアナログの特徴で、デジタル機器の場合は事情がかなり複雑になり、高い機材だから高音質であるとは一概に言えなかったりします。が、まあそれは置いといて。

さて、手持ちの録音機材は決まっている。高級品を買うことなんてできない。でもヒスノイズはなるべく抑えたい、という場合(がほとんどだと思いますが)は、録音手法を工夫することになります。最も有効かつ基本的な方法は「可能な限り大きな音で録音する」というものです。

ヒスノイズは常にほぼ一定の大きさで聞こえています。だったらそれよりもはるかに大きな音で録音すれば、相対的にヒスノイズは小さく聞こえる訳です。無音部分で聞こえていたヒスノイズが、音楽が始まった途端に気にならなくなった、という経験のある人も多いですよね。
これこそがアナログ録音の最も重要な録音テクニックであると言えるでしょう。
ただし、「可能な限り」という条件付きであることを忘れてはいけません。

録音機材は良い音で録音できる最大音量が決まっています。それを超えると音が割れるなどの不都合が出ます。デジタル録音の場合は、過大入力でメーターを振り切ると、いきなりひどい雑音が発生するのでわかりやすいのですが、アナログ録音の場合は、録音レベルを上げていくと徐々に音質が変化していって、最終的に音が割れて(ひずむ、という言い方をします)きます。音が連続的に変化していくので、どこが限界点かという見極めは人それぞれ、当然レベルメーターだけでは判断できません。ここが難しいところで、個人の好みと経験によるところが大きいのです。この辺が録音という作業のハードルを上げてしまっている一つの要因なのでしょう。

また、アナログ録音の場合、大きな音を入力し過ぎると、たとえ音が割れなかったとしても、「クロストーク」や「転写」などといった厄介な現象が起きてしまうことがあります。
これらについては、追々お話ししていきますね。


以上、今回は、今となっては何の役にも立たない、ヒスノイズ対策の録音テクニックについてお話ししました。

ところで、もうすでにお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、録音機材の側にも「ノイズリダクション」というヒスノイズ対策の機能が搭載されている場合があります。
次回はその「ノイズリダクション」についてお話しします。


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COMMENT

PATTI

レコード聞く時

さはんじさん、今まだ帰りの電車なの。事故で遅れてるんです。

おかげでじっくり読めました。
ジャズのレコードは、ヒスノイズがあるから好き。針をおく時のボッて音に続いて聞こえるシューーって音。たまらなく好きなの。

2012.07.29(Sun) 19:15 | URL | EDIT

さはんじ

Re: レコード聞く時

>PATTIさん
コメントありがとうございます。

CDが登場して以来、ノイズのない音楽に慣れてしまった私たちは、あれほど嫌っていたヒスノイズの音に、実は癒されていたのではないかと気付きはじめたのかもしれません。

アナログレコードのチリチリパチパチという音はスクラッチノイズと言いますが、確かに古いレコードではシューーというヒスノイズも聞こえます。
ヒスノイズやスクラッチノイズを聞くと、これからステキな音楽が始まるという期待感を条件反射的に持ってしまうのかもしれませんね。

2012.07.29(Sun) 22:32 | URL | EDIT

プリンセス・ハナ

No title

そーゆー音をヒスノイズっていうのね?
うちも小学校まではラジカセ使ってたんで
どーにかならないものかと四苦八苦したの覚えてますよ

そんなこんなで毎日グチグチ言ってたら
ママがついに買ってくれたの
「これはコンポゆーてめっちゃ高かったんやし、分解とか線とか勝手に抜かんといてよ」
って言われたの覚えてます

確かにそれで録音するとヒスノイズは気にならなくなりましたよ
ヒスノイズっていうのは
安物のラジカセ使ってたからだと13歳なりに納得してました

2012.07.31(Tue) 19:16 | URL | EDIT

さはんじ

Re: No title

>プリンセス・ハナさん
コメントありがとうございます。今回はハナさんとしてのご来訪ですね。

あああ、そうでした。ヒスノイズはデッキの録音・再生ヘッドの材質(テープの材質もですね)によっても発生度合いが違ってくるんです。これも高級品ほど高音質なのは同じですけどね。
うっかり言及するのを忘れてしまいました。
ナイスなコメントで補足していただき、本当にありがとうございます。

2012.07.31(Tue) 21:50 | URL | EDIT

cyah

おはようございます。

その昔兄貴がデンスケ(だと思ったけど)持っていたのですが、
主に室内再生用だけに使っていたので、
「宝の持ち腐れでは・・・・・・?」と
ひそかに思っておりました。

2012.08.01(Wed) 07:34 | URL | EDIT

さはんじ

Re: おはようございます。

>cyahさん
コメントありがとうございます。

デンスケ、懐かしい名前ですね。
デンスケは元々ソニーの取材用可搬型テープレコーダーの愛称だったと思います。始めは業務用のオープンリールテープデッキでしたが、後に民生用カセットデンスケやDATを使用するデジタルデンスケなどもラインナップされました。
たぶんソニーが商標登録していると思いますが、一般にはメーカーを問わず可搬型テープレコーダーの事をひっくるめて全部、デンスケと呼んでいたと記憶しています。

cyahさんのお兄さんが持っていたのはカセットデンスケだと思いますが、これは据え置き型の高級デッキに匹敵する高性能デッキでした。室内オーディオでも充分に満足できる性能を持っていますが、さらに持ち歩くことを想定しているため、振動や衝撃への対策もしっかりされていて、当然価格も高かったんですよね。
cyahさんがおっしゃる「宝の持ち腐れ」まではいかなくても「もったいない」くらいは誰もが思うのではないでしょうか。
まあ、本人が満足して使っているならばそれでいいんですけどね(^^;

2012.08.01(Wed) 13:47 | URL | EDIT

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