オーディオテクニカ『音、音、音。 音聴く人々』

2012.10.05(Fri)


音、音、音。 音聴く人々音、音、音。 音聴く人々
(2012/05/28)
オーディオテクニカ

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今回の音に関する本のレビューは、音響機器メーカーのオーディオテクニカ社が創業50周年を記念して今年5月に刊行した『音、音、音。 音聴く人々』をご紹介したいと思います。このなんともストレートなタイトルが示す通りに、「音」について様々な角度からアプローチを試みた内容になっています。キャッチコピーは「なぜ人は音に感動するのか?」。…こんな事を書かれたら興味を持たない訳にはいきません。
私がこの本を知ったのはつい最近なのですが、ざっと目を通しただけで、このブログ「サウンド・サイド」との共通点があまりにも多いので驚いてしまいました。何を置いてもご紹介しなくてはと思い、緊急レビューと相成ったのでございます(笑)。

最初に断っておきますが、これはオーディオテクニカ社の本ではあるものの、同社製品についてのカタログ的・広告的な要素はまったくありません。音響機器メーカーにとって「音」はまさに根幹をなすものであり、その「音」に対する真摯な態度が感じ取れる本で、私はとても好感を持ちました。

とはいっても、決して堅苦しい本ではありません。「音とは何か」とか「人はどうやって音を聴いているのか」、そして「録音の歴史」や「マイクロホンの仕組み」などをやさしくさらりと紹介するという、まるでどこかのブログのナントカ基礎講座のような(笑)内容に加えて、音に携わるプロフェッショナルの面々が「音」や「音楽」について語ったものをまとめて構成されています。これらのインタビューも、まあ紙面の制約もあるのでしょうが、奥深く切り込んだものではなくアウトラインに触れただけといった感じの内容です。ただ、ここに登場するミュージシャンやプロデューサー、エンジニアが凄いですよ。坂本龍一や渡辺香津美、村治佳織をはじめとして、アラン・パーソンズ、アル・シュミット、フィル・ラモーン、ジョージ・マッセンバーグ、エリオット・シャイナーなどなど、知らない人にとっては何のこっちゃワケワカランでしょうが、知ってる人ならひょええとひっくり返るようなメンバーです。

これらの超一流プロデューサー/エンジニアたちが口を揃えて言うのは、大切なのは聴くことである、という基本中の基本といえるような言葉で、そして最も重要な録音ツールはマイクロホンである、というのも共通していたのが非常に印象的でした。これは自宅録音に勤しむDTMファン等をはじめとして、録音に携わるすべての人が肝に銘じておくべき言葉だと思いますよ。

余談ではありますが、これらのインタビューの中で、とって付けたようにオーディオテクニカのマイクを褒めている部分があって苦笑してしまいました。これはインタビューを受けた人のリップサービスなのでしょうが、それをカットせず記事に盛り込んでしまう事にも苦笑を禁じ得ません(笑)。

その他、作曲家や演奏家、研究者、音声言語医学者、ホールの音響設計技師などによる記事もあり、その幅広さはどこかのブログでは逆立ちしても太刀打ちできません(笑)。私は冒頭の坂本龍一のインタビューや、オリンピック中継のサウンドデザイナーによる記事が特に興味深かったです。

「音」についての本とはいっても、その内容がどうしても「音楽」寄りになってしまうのは仕方のない事なのかもしれません。音に興味を持つ人は、やはり音楽の好きな人が多いでしょうから、「音」への取っ掛かりとして「音楽」を提示するのは自然な流れなのでしょう。私としてはそこに不満がない訳ではありませんが、まあこのブログでも「音」に興味を持ってもらうためにCDレビューなどをしているのですから、人の事を言えた義理ではありませんね。

ところで、この本の最後のほうのコラムに、オーディオの質が良くなるにつれて、音楽ではなく無機質な音を好む「音派」という人が現れてきた、との記載があります。音そのものよりも音楽や演奏に関心の比重が高い人は「音楽派」というのだそうです。こういった分類が必要なこともあるでしょうが、私としてはその両方でありたいと思っています。音そのものや音質も音楽を構成する重要な要素であると思うので、切り離して考えたくはありませんね。


さて、この本のキャッチコピーとなっている「なぜ人は音に感動するのか?」ですが、その答え「らしき」事は、この本の中にも書かれています。しかし、音についてよく知っている人であればあるほど、そんなことは簡単に言い表せるものではない、と分かっているはずです。
この本を読むと、一言で「音」といっても、非常に多くの側面を持っていることに気付くはずです。これほど幅広く多くの専門家や研究者がそれぞれに「音」に携わっていて、それでもまだまだ解明できない奥深さがあるのです。そんな魅力にあふれた「音」だからこそ、人は音に感動するのかもしれません。

と、色々な事を考えるきっかけとなる本だと思います。このブログに興味のある人にはお奨めしたいですね。まずは近くの図書館に入っているかどうか調べてみましょう。なければリクエストして買ってもらいましょう。そして読んでみた上で、手元に置いておきたいと思ったら購入する、というのはどうでしょう。
図書館にあれば、それだけ多くの人の目に触れる機会が増えるでしょ(笑)。


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COMMENT

PATTI

フィル・ラモーン走ってました

さはんじさん、こんばんわ。

ほんと、お話伺った限り、『サウンド・サイド』と方向性がおんなじって気がしました。

坂本龍一、渡辺香津美、フィル・ラモーン以外、全部初めて聞く名前で、調べてびっくり。
すごいプロデューサー、エンジニアではありませんか。
私などは今まで、そのあたりのお仕事についてのクレジットは全くと言っていいほど読みませんでした。

私も、音と音楽、離して考えたくない方です(^^)


2012.10.08(Mon) 00:35 | URL | EDIT

さはんじ

Re: フィル・ラモーン走ってました

>PATTIさん
コメントありがとうございます。

ほほう、PATTIさんのご近所にフィル・ラモーン先生のジョギングコースがあるのですね。
なんてね、ウソウソ。でもこれも秀逸な誤変換ですな〜(^^;

ここまで似たような内容の本があるとは驚きました。
でもちょっと嬉しかったりして(^^;

普通の人はプロデューサーやエンジニアは気にしないと思いますよ。

2012.10.08(Mon) 08:59 | URL | EDIT

PATTI

それほどさはんじさんの音に対する知識、概念などが、本物だってことです。
Ryojiさんもきっとそう言いますよ。
改めて尊敬・・・なんてしません。もともと
すごいな、って、尊敬申し上げておりますゆえ。

さはんじさんが認められたようで、
私もとても嬉しいです!!

2012.10.08(Mon) 09:18 | URL | EDIT

さはんじ

Re:

>PATTIさん

わああ、なんだかくすぐったいです。
そんなに褒めても何も出て来ませんよ〜。
尊敬するだけ損けえ?

ほらね、オヤジギャグだけしかでてきません。

いつも本当にありがとうございます。

2012.10.08(Mon) 13:17 | URL | EDIT

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