Flim & The BB's 『Tricycle』

2010.05.12(Wed)

TricycleTricycle
(1990/10/25)
Flim & the BB's

商品詳細を見る


フリム&ザ BB'sのオリジナルアルバムはdmpレーベルからは合計5枚発表されていて、リリースされる毎に演奏も録音もクオリティがアップしていくのですが、ここでは大変衝撃的だったデビューアルバムの『トライシクル』(1983年米国で発表、日本では1990年リリース)を取り上げてみたいと思います。5弦ベースの名手ジミー・ジョンソン率いる超強力ユニットの多彩な演奏が楽しめる、素晴らしいアルバムです。が、やはり特筆すべきはこのdmpレーベルのコンセプトである、ダイナミクス系エフェクトを一切使用しないダイレクト・2トラック・デジタル・レコーディングのサウンドでしょう。

アナログレコードに代わるメディアとして1982年にCDが発売されてから、その圧倒的なスペックを活かすべく、いくつもの高音質CDレーベルが登場しました。楽器本来のサウンドを正確に再現するためにコンプレッサー/リミッター等を一切使用せずに一発録音をするというdmpレーベルのコンセプトは、複雑な楽曲の多いこのフリム&ザ BB'sのアルバムでも健在です。
そのダイナミックレンジは圧巻で、1曲目の表題曲「Tricycle」には度肝を抜かれました。今、あらためて聴くと少々誇張されている感はありますが、この曲を大音量で30秒聴いたなら、誰でもびっくりするのではないでしょうか。ダイナミックレンジの広い録音といえば、クラシックのオーケストラが代表的ではありますが、それとは全く違った、オンマイクでビシビシ迫ってくるようなビビッドな音で、各楽器の、とりわけドラムサウンドの立ち上がりの鋭さ、生々しさは、本当に快感です。
録り直しのきかない一発録音の楽曲中に、楽器の持ち替えはもちろん、シンセサイザーのシーケンスを取り入れたり、大胆なエフェクトを用いたソロ演奏があったりと、録音面でも演奏面でも非常に高度な技を見せて(聴かせて?)くれます。ちょっとサックスのリバーブが深すぎるかな、と思うような曲もありますが、全体に聴き所満載で、リスナーを飽きさせない素晴らしい構成になっています。

ところで、この広大なダイナミックレンジは大変素晴らしいのですが、大音量で聴くことが絶対条件になってしまいます。楽器本来のサウンドをそのまま収録するということは、演奏時に匹敵する音量で再生しなければ迫力を感じられないどころか、ピアニシモの部分では聞き取る事ができないという事にもなります。
それゆえに一部のオーディオファンには大絶賛されても、一般に支持されにくいサウンドであることは明白です。
コンプレッサー/リミッター等のエフェクトは、確かに楽器本来のサウンドを歪めてしまうため、原音に忠実な再生音とは言えませんが、小音量でも迫力のある聞きやすいサウンドを作り出す効果があります。音楽の楽しみ方が多様化し、生活の中でより気軽に楽しめるようになった現在では、こういったサウンドの方がより強く求められているように思います。また、録音技術的にも「狭いダイナミックレンジでありながらも良いサウンド」が確立されてきています。デジタル録音機器のスペックは日々上がっていくのに、リスナーが求めるのはレンジの狭いサウンドであるというジレンマもありますが、その中でもより良い手段は確実に生み出されているようです。

一般的に、CDに収録されている音楽は年々音量が上がってきています。それは裏を返せば、ダイナミックレンジが狭くなっているという事でもあります。隙間なく密度の濃いサウンドが巷に溢れる現在、たまにはこのCDのように、音量差にドキドキするようなサウンドを聴いてみたくなるんですよねえ。

  Flim & The BB's のCDを見る


  よろしければランキング投票をお願いします→ 

COMMENT

POST COMMENT


プロフィール

さはんじ

Author:さはんじ

FC2カウンター

ブログランキング参加中


にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村
ブログランキングならblogram

おきてがみ


足あとを残せます。

アーカイブ

 

検索フォーム

Amazon 特集情報



Google AdSense

まずは「知る」ことが大切


blogram

にほんブログ村ランキング

↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。