コラボ「バードランドの子守唄」その1 まずは聴いてみる

2013.07.08(Mon)

お待たせしました。いよいよコラボ制作記事のスタートです。

第一弾は、ジャズのスタンダードナンバー「バードランドの子守唄」のミックスダウンです。
これは以前に千坂さんがコンテストに応募するために録音した曲なのですが、コラボの一環として私がリミックスをすることになりました。
そのミキシング作業の、私なりの手順を記していきたいと思います。

今回は録音素材を聴いて、ミックスダウンのコンセプトを決定するところまでいきましょう。
このコラボでは、楽器や歌の録音を浦太さんと千坂さんがおこなっています。私は録音済みのオーディオ素材を受け取って作業をするので、まずはオーディオファイルのフォーマットなどをきちんとチェックし、それらをよく聴いて、音楽的・音響的にどんなサウンドであるかをしっかり把握しておくことが大切です。
そして、事前にコンセプト(基本方針)を決めておくと、それがミキシング中に迷ったときなどの力強い道標になるので、こちらも作業を進める上で大切なことだと思います。

まず、作業環境をざっと紹介します。
私が使用しているパソコンはiMac 21.5-inch, Mid 2011、DAWはProTools10です。コントロールサーフェスの類いは使用せず、マウスとキーボードだけで操作しています。
浦太さんと千坂さんはWindowsでSONARを使用しています。MIDIデータではなく、オーディオデータ(WAV)のみをやりとりするので、PCやソフトの互換性が問題になることはありません。

さて、お二方から素材として送られてきたオーディオファイルは6個です。

まずはボーカルトラック。マイクで録音したモノラル音源のはずですが、32ビット44.1kHzのステレオファイルでした。これはコンテスト応募時に浦太さんが若干の編集を施したもので、そのプロジェクトから書き出したファイルだからなのでしょう。そのまま使用してもいいのですが、ProToolsはステレオトラックを、書き出す事なくモノラル2chに分割できるので、今回はその機能を使い、Lchのみをモノラルトラックとして使用することにします。サウンド的に意味がある訳ではなく、単純に画面(波形)表示が見やすいからという、それだけの理由です。
次に、浦太さんお手製の、ボーカルのエキサイター成分トラック。これについては浦太さんのブログに詳しい解説があります。これをボーカルにミックスすると、音の輪郭が際立ちます。

そして、楽器のトラックは3つ。ピアノ、ベース、ドラムです。これは「Band-in-a-Box」という自動演奏ソフトで作ったトラックなのですが、そのクオリティが凄いのです。一聴しただけだと、生演奏だと信じてしまうくらいです。いやほんと、大袈裟ではありません。すごい時代になったものですね。
これらは16ビット44.1kHzのステレオファイルです。ドラムもステレオにミックスされています。
最後のひとつはこれら3つの楽器をミックスしたものです。いわゆるカラオケと同じ状態のものですが、これは今回は使用しません。

以上のオーディオ素材を受け取る時に、この曲のテンポを教えてもらいました。MIDIデータではないのでテンポを気にする必要はないと思われるかもしれませんが、切り貼り編集の必要が生じた際のタイミング調整や、テンポに合わせたディレイ効果が必要になった時などに、プロジェクトをテンポで管理しておくと作業が非常に楽になるのです。
まあ、今回は必要ありませんでしたけど(笑)。

では、ボーカルのデータにあわせて32ビット44.1kHzのプロジェクトを作り、これらの素材をDAWに読み込みます。教えて頂いたテンポ115を設定して、何の手も加えずざっと適当にバランスをとり、まずは全体を聴いてみましょう。いわゆる、すっぴんの状態ですね。とりあえずエキサイター成分はミュートしておきます。



さすがですね。何も手を加えていないのに、これだけでももう曲として成立しています。
いかにもジャズっぽい、懐かしいような雰囲気がサウンドにも表れていて、いい感じです。
設定したテンポで、小節の区切りもきちんと一致しているようです。よしよし。

この後、それぞれのトラックを単独で聴いて、それぞれの音がどんな役割をしているかを把握していきます。まあシンンプルなピアノトリオのスタイルですから、特別に変わったことはありませんけどね。
まず、ピアノは地味な音色で主に和音のみを鳴らしています。ただしリズムは多彩で、ボーカルとうまく絡んでくれそうに思いました。
ベースは音色、フレーズともに素晴らしく、何度も言いますが最近の自動演奏おそるべしといった感じです。低音が豊かで、自在に動き回るフレーズもいいですね。
ドラムは主に中高音域のブラシとシンバルでリズムを刻んでいます。タムやバスドラムはアクセントにちょっと出てくるだけなので、曲全体の低音を支えるのはベースの役割ということになります。

さてさて、主役のボーカルです。表情の豊かな千坂さんのボーカルはやっぱりイイですね。
諸々の事情から、録音に使用したのはダイナミックマイクのSM-58だということで、そのせいかちょっとこもり気味の音です。これはこれでジャジーな雰囲気が出ているのですが、やっぱりもう少しクリアに聴きたいですよね。千坂さんの歌はレトロでもろジャズな感じよりも、もう少しコンテンポラリーなサウンドのほうが似合うかなと思います。

という訳で、歌とバッキングの雰囲気はジャズだけれども、サウンドはちょっと現代的な感じ。こういった方針でミックスダウンをしていく事にしましょう。


さてさて、基本方針が決まりました。
演奏もミキシングも自分でやるという(人がほとんどでしょうが)DTM派の皆さんは、ミックスダウン時にはもうすべての音を把握しているはずだし、方針も決まっているでしょうから、ここまでの作業は不要ですね。

次回はいよいよミキシング作業にとりかかります。


   


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COMMENT

浦太

詳しい解説、ありがとうございます。

千坂さんの声質は高域の独特の響きが魅力です。
「コンテンポラリーなサウンドのほうが似合う」
仰る通りだと思います。

2013.07.08(Mon) 18:33 | URL | EDIT

千坂あつこ

出来上がりを知っているだけに、
この感じから、あの出来上がりになるのは
やはりすごいなと思います。
くっきりと立体的に浮き立って、生き物って感じがすごくする。
私は特に、何につけ生々しいというか、生きてるって感じが一番好きなので、さはんじさんのミックスはドンピシャでした。
そこへの道筋をこちらでこれからたどるの、楽しみです。

さはんじさんや浦太さんにお褒めいただいたことを励みにもっと良い歌になる様頑張りますね。気負わず、思い込まず^ ^

2013.07.08(Mon) 19:15 | URL | EDIT

さはんじ

Re:

>浦太さん
コメントありがとうございます。

>高域の独特の響きが魅力です
ホントですよね。
音と向き合ったとき、やっぱりそこを活かしたいなって思います。

2013.07.08(Mon) 22:25 | URL | EDIT

さはんじ

Re:

>千坂さん
コメントありがとうございます。

気に入っていただけたようで、よかったです。
今後の記事を読むとわかると思いますが、特別な音のマジックは一切使っていません。
そりゃそうです、マジックなんてできませんから(笑)
やっぱり素材が良ければ、良いものができるんですよね。

2013.07.08(Mon) 22:32 | URL | EDIT

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