コラボ「バードランドの子守唄」その2 オケの調整

2013.07.11(Thu)

前回は各トラックの音を聴いて、こんな風にミックスしたいな〜という方針を決めました。

今回はオケの調整をしていきます。オケというのはボーカルを除いた伴奏全般を指す音楽用語です。オーケストラを略した言葉なのですが、たとえばピアノ1台やギター1本だけの伴奏だったとしても、それはボーカルと区別する意味でオケと呼びます。カラオケは「空っぽのオーケストラ」の略ですから、それとまったく同じ意味ですね。
オケの調整、つまりは主役であるボーカル以外の音をいろいろと整えていこうという事です。

さあ、それではいよいよ実際に音をいじっていきましょう。

この「バードランドの子守唄」のオケは、ピアノ、ベース、ドラムの3つの楽器で構成されています。これらは「Band-in-a-Box」という自動演奏ソフトで作られたものなので、元々よく整えられています。したがってそのままミックスしてもきちんとした伴奏が出来上がるのですが、ボーカルとの兼ね合いや先に決めた基本方針をふまえて、ある程度の調整をしていこうと思います。

説明の便宜上、ひとつひとつのパートについて順番に解説していきますが、実際には全てのトラックを聴いた感じを基に、その都度あちこちのパートを微調整していきます。一番大切なのは曲の全体像ですから、基本的にはひとつのトラックを単独で聴きながらの調整はしません。もちろん単独で聴かないと調整できないケースもありますが、あくまでも基本的には、ということです。経験豊富な人なら、ひとつひとつのパートの音を順番に作っていく場合もあるのでしょうが、私には難しくてちょっとできません。
そんな訳で、まだ調整していないボーカルも一緒に聴きながらオケをまとめていきます。

まずはピアノです。この曲の中で唯一の和音楽器であり、リズムも変化に富んでいて、オケの中でも非常に重要な位置をしめるパートですね。ボーカルとの絡み具合が面白いと思うので、伴奏としては少し大きめの音量で聴かせたいところです。奥まった感じの地味な音色をしているので、少し現代的なサウンドにするべくイコライザー(以下EQと記します)を使って高音域を強調して、響きにちょっとツヤを持たせようかと思います。
割と大胆に高音域を持ち上げたいところですが、元の録音レベルがかなり大きめなので、EQ内部でレベルオーバーしないように、中低音を下げることで高音を強調した周波数カーブを作ってみました。まあ最近のDAWは32ビット処理をしているのでクリップに強いし、そもそもEQのインプットゲインを下げればいいんですけどね。古い人間なもので、ついついこういうやり方をしてしまうんです、はい。まあこういう方法もあるという事を覚えておくと、いつか何かの役に立つかもしれません。持ち上げるのではなく下げることで調整していく、これを引き算の考え方、なんていう人もいますね。

※画像をクリックすると原寸大表示のウインドウが開きます。

piano_EQ.png 

このピアノは、ステレオの広がりがなかなか気持ち良いのですが、目立つ音域の定位がだいぶ右側に寄って聞こえます。楽器が少ないこともあり、ピアノの音量を上げると曲全体のエネルギー感も右側に片寄ってしまいます。パンポットでピアノの定位を中央に寄せると広がり感が損なわれるので、ここは思い切ってベースを少し左に移動させてみました。私は(タムを除く)低音楽器を左右どちらかに寄せるのがあまり好きではないので、全体の定位バランスが不自然にならない程度に、控えめに調整しました。結果的に左右のバランスもまあまあだし、千坂さんが3ピースのバンドを従えて歌っている感じがより出てきたかな、と私は気に入っています。まあ自己満足かもしれませんが。

さて、そのベースですが、音を聞いた感じよりもVUメーターの針の振れが大きいように思いました。低音の豊かな良い音なのですが、ちょっと低音が出過ぎているのかもしれません。そこでハイパスフィルターで不要な低音を削ります。音を聴きながらフィルターの周波数を動かして、オケ全体の中で影響が出ないくらいのポイントを見つけて設定します。

bass_pan.png  Bass_EQ.png


最後はドラムです。既に2ミックスになっているので、パーツを個別に調整することはできません。少し存在感を増せるかなと思い、フリーウェアのプラグイン「Saturation Knob」をドラムのトラックにインサートしてみました。これはアナログの歪みをシュミレートするプラグインです。ほんのちょっとノブを動かしただけで、いきなり良い音になったような気がしてびっくりしました。まだまだこのエフェクターの効果が出るところまで動かしていないので、単純にボリュームが少し上がっただけなんだと思います。つまりはドラムトラックのフェーダーをちょっと上げるのと同じはずなのですが、気はこころ、といいますか、第一印象を大事にして(笑)このままいくことにします。いい加減ですねえ。
さらに、ピアノとのバランスを考えてほんのちょっとだけEQで高音域を持ち上げてみました。これも、気はこころ、の程度です。

全体を通して聴いてみると、スネアのブラシワークを主体にした部分に対して、ライドシンバル主体の部分の音量がだいぶ小さいようです。これは編集ウインドウの中で波形をカットし、クリップ(リージョン)ごとに音量を変えることで対処しました。波形をカットする際には、ProToolsのタブトゥトランジェントの機能を使うと、音のピーク直前のポイントに瞬時に移動することができて便利です。

drum_comp.png  drum_EQ.png  clip gain


パート個別の音づくりは大体こんなところでしょうか。微妙な調整ではありますが、全体にスッキリして多少のメリハリがついたかなと思います。
最後にこれら3つのトラックの出力をメインアウトから同一のバスアウトに切り替えます。そして新たにステレオのAux入力トラックを作成して、入力にオケのバスを選択します。つまり、オケ全体のグループフェーダーを作ったという事ですね。最終的なミックスの時に、バランスを保ちつつオケ全体の音量を調整できるようにした訳です。





さあ、次回はついにメインイベント(笑)、ボーカルトラックの調整をします。


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COMMENT

浦太

流石に細やかですねぇ。

私はパッと聞いてOKならOK、
みたいな感じで、かなり大雑把ですから…

細やかな事をやろうとすると、
耳が慣れちゃって、やり過ぎちゃう事が多いです。

2013.07.11(Thu) 12:16 | URL | EDIT

さはんじ

Re:

>浦太さん
コメントありがとうございます。

そうなんです。耳が慣れると、音がわかんなくなっちゃいますね。
私は適度に休憩をとって、合間に好きなCDを聴いたりして、耳をリセットしながら音の調整をすることが多いです。

2013.07.11(Thu) 12:58 | URL | EDIT

PATTI

こんなに手を加えてくださってるんだ…

次の曲は、さはんじさんが手を加えた後のオケで歌えるんですね…楽しみです^ ^

2013.07.11(Thu) 20:13 | URL | EDIT

さはんじ

Re: こんなに手を加えてくださってるんだ…

>PATTIさん
コメントありがとうございます。 



文章にするとえらく細かい作業をしているようですが、 

実は大して手を加えてはいないんです。 

これは文字のマジックでしょうか(笑)

2013.07.11(Thu) 20:15 | URL | EDIT

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