音の基礎講座5 聞こえる?聞こえない?

2010.05.19(Wed)

4時限目の講義を受けていない方は、こちらを先に読んでくださいませ。

「はい、どーもー」
「はい、よろしくお願いしまーす」
「今回は前回に引き続き、聴覚効果についてお話ししようかと思うんですけど」
「あー、いいですねえ。こう、テレマーク姿勢でビューンとね」
「直滑降か!」

と、今回はタカアンドトシ風に始めてみました。

笑い過ぎて横腹が痛くなった人もいるかと思いますが、問答無用で5時限目の講義を始めます。
どうしても雰囲気を盛り上げたい、という方はこちらをクリック、してもいいです…。

今、このしょーもない文章を表示しているのはたぶんパソコンが多いと思います。まあケータイでもiPadでもいいんですが、ここではパソコンということにしましょう。あなたが見ているパソコンから突然イヤな感じの音が発生して、それが鳴り続けていたとします。うわわ、故障か? 何が原因だろう? またお金がかかるんだろうか? と、どよよ~んとした気分になるかもしれませんが、まあとりあえずそれは置いといて。

このイヤな感じの音を聞こえなくするには、どうしたらいいでしょうか。

はい、また高齢の、いや、恒例の質問タイムです。
パソコンの電源を切ってしまうのは反則です。叩き壊してしまうのはもっとダメです。音がしている状態で、聞こえなくしてみてください。
答えはたくさんあると思います。
まず、黙ってその場から立ち去る。これは、音源から離れるほど音は減衰する、という音の特徴をいかした解答ですね。
次に、耳栓をする。これは遮音という方法ですね、これも正解。
パソコンに大きな段ボール箱をかぶせてしまう、とか、自分とパソコンの間に分厚い壁を作ってしまう、なども遮音です。

他にあるでしょうか。今回の講義のテーマは「聴覚の効果」ですから、それに合った答えがほしいですね。

では、私が用意した答えを発表します。って、そんなに大げさなものではありません。
それは「他にもっと大きな音を鳴らす」です。

なあんだ、当たり前じゃん、と思いますか? そう、当たり前なのです。
ある音がそれ以外の音によって聞きにくくなる現象、これをマスキング効果といいます。
子供達がカードゲームに夢中になる現象、これをムシキング効果という…かどうかはわかりません。

音のマスキング効果にはいくつかの特徴があります。
ます、音量差があるほどマスキング効果も大きくなります。これこそ当たり前ですね。妨害音が大きいほど、聞きたい音は聞こえにくくなります。
次に、周波数が近いほどマスキング効果が大きくなります。
そして、周波数が離れているときは、低音は高音をマスキングしやすく、高音は低音をマスキングしません。
また、時間的に先になった音が、後の音をマスキングすることもあります。場合によっては後の大きい音が先になった小さな音をマスキングすることもあるようです。そんなバカなと思うかもしれませんが、非常に短い時間の中ではそんな事も起こるらしいのです。詳しく知りたい方は「経時マスキング」で検索してみてください。

大きな音に隠れて小さな音が聞こえなくなる、という普段は気にもしないような当たり前の現象にも、聴覚特有のこんな特徴があるんですね。MD(ミニディスク)やMP3などの情報圧縮技術は、こうしたマスキング効果の特徴を利用しています。つまり、マスキングによって聞こえにくくなっている音を記録しないようにして、音声データを小さく(軽く)しているわけです。

さて、人間の聴覚効果の中には、このマスキング効果に対抗するような(?)効果もあります。
最初にタネ明かししてしまいますが、カクテルパーティー効果というやつです。
騒がしいパーティー会場の中でも、聞こうと意識した声を聞き分けて会話ができるという現象です。日本語にすると選択聴取効果とでもいうのでしょうか。これではなんだか味気ない言葉ですね。たぶん元は英語だと思うのですが、「カクテルパーティー」とはまたオシャレな言葉を選んだものです。別に「地下鉄車内効果」でもいいですよね。それにしても東京都営地下鉄大江戸線の車両の中は本当にウルサくて会話もできません。あ、てことは「地下鉄車内効果」ではダメですね。うーん、じゃあ何がいいかな。

…また脱線しました。地下鉄の話で脱線はさすがにマズいかな。まあそれはともかく。
このカクテルパーティー効果の理屈については、音の方向や周波数や倍音などの他に、視覚や相手の声の特徴、口癖、会話の文脈など、さまざまな情報をもとに脳が分析して、必要な音だけを選択していると考えられます。
この「意識をして聞き分ける」ことが、聴覚特有の非常に優れた能力なのです。こういった事ができなければ私たちは、私たちをとりまく無限の質と量の音刺激にすべて対応しなければなりません。そんなことは不可能ですね。
人間の耳と違って、マイクロホンにはこういう選択をすることはできません。したがってパーティー会場で会話ができていたのに、その場で録音した音声を後で聞いたらまったく聞き取ることができなかった、というのはよくある事です。騒がしい場所でインタビューをする機会のある雑誌記者の方などは注意が必要ですね。

最後にもうひとつ紹介しておきます。
実際には(外界に)ないのに、耳の中で聞こえる音、「主観音」です。「あるじかんのん」ではありません。「しゅかんおん」です。耳鳴りとはちょっと違うものだと思ってください。原因はいろいろあって難しいのですが、解りやすい例をひとつだけ挙げます。
非常に大きな音を聞いた時、実際にはないキーンという音が聞こえたという経験があると思います。
人間の耳は、自分自身を守るために、非常に大きな音に対しては振動しにくい構造になっています。そのために振動がひずみを起こし、その音に含まれていない周波数の音が発生して、本来は聞こえるはずのない音が聞こえる訳です。ただし、この音が長時間消えない場合は聴覚神経の損傷のおそれがあるので、早めに耳鼻科を受診したほうがいいでしょう。


5時限目の授業はここまでにしましょう。今回は聴覚特有の効果についてお話ししました。
次回は音にまつわる現象をいくつか紹介したいと思います。

ここまできてもまだ雰囲気を盛り上げたい、という奇特な方はこちらをクリック
ほとんどの人は無視してください。くすん。

6時限目「これが自分の声?」を読む


   


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