山下達郎『SONORITE』

2010.05.26(Wed)


SONORITE(通常盤)SONORITE(通常盤)
(2005/09/21)
山下達郎RYO

商品詳細を見る


2005年に発表されたこのアルバム『ソノリテ』は、各方面で賛否両論さまざまな評価を受けました。特に昔からの熱心なファンの評価は低かったようです。長年待ったオリジナルアルバムなのに新曲が少ないとか、ラップやカンツォーネ(演歌やムード歌謡だという人もいました)を山下達郎がやらなくてもいいだろ、などという意見もありましたが、レコーディング・システムの変更によってそれまでの山下達郎サウンドが大きく変わってしまった事の影響も少なくないと思います。実は私も最初にこのアルバムを聴いたときにはガッカリしてしまったクチなのです。

雑誌のインタビュー記事等によると、このアルバムは諸々の事情によりレコーディング・システムをProToolsに変更したものの、これまでのシステムと違って音の混ざり具合がどうしても思うようにならず、録音作業に入った後にアレンジを変更せざるを得なくなった等、レコーディングに相当苦労したようです。
ProToolsは今や業界標準ともいえるレコーディング・システムですから、山下達郎氏の音に対するこだわりの強さがうかがえます。もしくはこれまでの録音の方法論がよほど独特だったのでしょうか。

ひとつひとつのサウンドは前作『コージー』と比べても実に太くて鮮明です。ボーカルもマイクに一歩近付いたかのようにナマナマしい音になっています。ところが、全体のサウンドはまるで音を重ねる事を恐れているかのように、きれいに「並べて」あるという感じで、音の厚みや音量の緩急に乏しく、クリアではあるけれど平面的な印象です。これまでの山下達郎のサウンドに見られたマジックのような一体感が感じられないのは非常に残念でした。
未発表音源を集めた『レアリティーズ』というアルバムの中に、キンキキッズに提供した「HAPPY HAPPY GREETING」という曲のデモバージョン(とはいっても本当のデモではないと思いますが、ラフな感じに仕上がっている曲です)が収録されていますが、この曲に近い印象を受けました。

山下達郎本人はヘッドホンで聴いてほしいアルバムだと言っているようです。私はヘッドホンで音楽を聴くのがあまり好きではないのですが、今回このレビューを書くにあたって、それならばと初めてヘッドホンで聴いてみました。
確かに音質は良いし、ヘッドホンだと適度な音圧感も出て心地よく聴こえます。ウィスパーボイス(ささやき声)や遠慮がちに入っている街ノイズなど、細かな音の仕掛けもぐっと存在感を増して、なるほど、これがヘッドホンで音楽を楽しむ人の多い現代的なサウンドなのかな、と思いました。でもやっぱり私は『コージー』までのサウンドの方が好きですね。

アルバムの後半は、これまでに発表した曲のリミックスバージョン等があるせいか、(新曲も含めて)以前のサウンドに近い曲がそろっています。すべてが新しいサウンドではない、というこのアルバム構成が何を意味しているのかは判りませんが、今後の山下達郎サウンドがどのような方向へ向かうのか、非常に楽しみではあります。

現在、この『ソノリテ』から4年半が経過していますが、まだ次作は発表されていません。
しかし、CMや映画、テレビドラマ等で山下達郎の曲を耳にする機会は多いので、そう遠い話ではないのでは、と期待しているのですが、どうでしょうね。


 ※追記※
 『ソノリテ』発売から6年経ち、ついに次のアルバムが発売されました。
  ニューアルバム『レイ・オブ・ホープ』のレビュー記事はこちら


    


  よろしければランキング投票をお願いします→ 

COMMENT

POST COMMENT


プロフィール

さはんじ

Author:さはんじ

FC2カウンター

ブログランキング参加中


にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村
ブログランキングならblogram

おきてがみ


足あとを残せます。

アーカイブ

 

検索フォーム

Amazon 特集情報



Google AdSense

まずは「知る」ことが大切


blogram

にほんブログ村ランキング

↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。