音の基礎講座6 これが自分の声?

2010.06.02(Wed)

5時限目の講義を受けていない方は、こちらを先に読んでくださいませ。

えー、今回は今流行の謎かけをやってみたいと思います。

「理想的な音の基礎講座」とかけまして、「刻々と変化する世界情勢」と解きます。
その心は?

はい、一旦CMです。じゃなかった、6時限目の講義を始めます。
謎かけの答えは後ほど。

懲りずに雰囲気を盛り上げたい、という方はこちらをクリック

録音した自分の声を聞いた時、「うわ、こんなの自分の声じゃないよお~」と泣きたい気分になった事がありませんか? 私はあります。今でも自分の声を聞くのは大嫌いです、はい。
たぶん、ほとんどの人がこういう経験をしていると思います。
認めたくない事実ではありますが、録音された声の方が本当の自分の声に近いのです。きっと周りの人達皆が証言してくれるでしょう。「このヘンな声こそがお前の本当の声なのだあぁぁぁ~」と。
こういう理不尽でショックな出来事を受け入れて、人は強く成長していくのです。
そう、あしたの栄光を目指して、この泪橋を逆に渡って行くんだ、なあ、ジョーよぉぉぉ。

…じゃなくて、それじゃあ普段自分が聞いている声は何なんだ、という事になりますね。
私たちが音を聞くときは、3時限目にお話ししたように、音が外耳から中耳、そして内耳へと伝わって行くのですが、自分の声に関してはもうひとつのルートが存在するのです。音は空気だけでなく固体でも伝わると1時限目にお話ししましたね。そう、声を発する声帯などの振動が、なんと頭蓋骨を伝わって直接内耳に届いてしまうのです。これを「骨伝導」といいます。自分の聞く声は、この両方の音がミックスされているために、他の人が聞く声や録音された声とは違って聞こえる訳です。

ギターを弾く人は、チューニング用の音叉を鳴らして、根元の部分をこめかみ等に当てて音を聞いたことがあるかもしれません。これも骨伝導の音を聞いているのです。また、重度の難聴だったベートーベンは、指揮棒を口にくわえてその先をピアノに押しつけ、骨伝導で音を聞いて作曲をしたと言われています。ピアノを直接かじっていたという説も聞いた事がありますが、本当なんでしょうか。どこの部分をかじっていたのかな。
最近では骨伝導を利用したヘッドホン等も発売されていますね。音楽を楽しむほどの周波数レンジと特性が確保できるかどうかは疑問ですが、騒音の中での通信等には有効ではないかと思います。今後さらに開発されていく余地のある分野ではないでしょうか。

さて、自分の声が変わって聞こえるという話でしたが、今度は明らかに誰でも音が変わって聞こえるという現象をふたつ紹介したいと思います。

まずはドップラー効果です。リードをはずして自由に遊ばせることで運動不足を解消してあげるのは、ドッグラン効果、かな? うーん、長い割に面白くなかったですね。まあいつもの事ではありますが…。えーと、ドップラー効果は、ほとんどの人にはおなじみの現象だと思いますが、車などが近付いてくる時と遠ざかる時で、音の高さが変わって聞こえるというものです。救急車などのサイレンは非常にわかりやすい例ですね。こんな音です。

1時限目の音の正体を思い出してください。(おお、こうやって過去の講義を振り返る事が多くなると、いかにも応用編に入ってるなあという気になりますねえ)引用すると「空気中で起こった何らかの振動が空気を押したり引いたりして、空気の密度の高い部分と低い部分が交互に発生し、波のように伝わっていく」のが音の正体でした。この音の発生源がビューンと移動したら、進行方向の波は移動速度に応じて圧縮され、反対側の波は逆に伸張されます。厳密には違いますが、水面を進む船が起こす波をイメージするとわかりやすいかもしれません。音の波が圧縮されると、1秒間に繰り返す振動の数(周波数)が増えるので、音程は高くなります。逆に伸張されると低くなります。したがって、音の発生源が目の前を通過するとき、音程が低く変化したように聞こえるのです。
ちなみに、この劇的な変化にばかり注目しがちですが、近付いてくるときの音は実際の音よりも高く聞こえています。理屈はわかりますよね?

さて、ドップラー効果の次はドナルドダック効果です。パーティーグッズ等でおなじみの、ヘリウムガスを吸って声を出すと音程が高くなる現象で、ドナルドダックボイス現象ともいいます。
こんな声になります(これは実際にヘリウムを吸って発した声ではありません、あくまでイメージです)。

1970年頃に、海の底に住むことを目的とした「シートピア計画」なるものがありました。深海では気圧も高くなって普通の空気では呼吸が困難になり、窒素中毒と呼ばれる症状に陥るため、密度が低く人間に無害であるヘリウムと酸素の混合ガスを使用します。ところがこのガスを吸って声を発すると、音程が高くなってしまったのです。「ワーオ、なんてこったい! 本当にこれが俺の声なのかい? まるでドナルド・ダックみないな声じゃないか!」と言ったかどうかはわかりませんが、この現象をポパイ現象、ではなくて、ドナルドダックボイス現象と言うようになりました。

ヘリウムガスは空気よりも音の伝わる速度が速いために音程が高くなる、という人がいますが、私はそれには疑問を持っています。伝搬速度と音程は関係ないはずです。この現象の理屈についてはネット上で調べてみても色々な意見があり、かなり専門的な議論がされているようです。気体の密度の関係で声帯の振動が速くなるとか、フォルマント(人の言葉の母音を構成する周波数)が高くなるとか、声帯の共鳴周波数がどうとか倍音が…等々、はっきり言って私にはよくわかりません(汗)。ただ、私には基本周波数が高くなっているように聞こえるし、その割にはフォルマントは変化していないような気がするので、声帯の振動が速くなっているのではないかと思うのですが…、えーと、まあとりあえずここでは無難に、ヘリウムガスを吸って声を出すとドナルドダックみたいな声になる、という事だけ理解しておいてください。すみません…。

ちなみに、パーティーグッズのヘリウムガスも中身はヘリウムと酸素の混合ガスです。ヘリウムガスといえば宙に浮く風船に入っている気体を思い浮かべるかもしれませんが、このヘリウムガスに酸素は入っていません。ヘリウム自体は無害でも、酸欠状態になり大変危険ですから、間違っても風船の中のヘリウムを吸ってはいけません。


ところで、今年の4月に宇宙飛行士の山崎直子さんが宇宙ステーションの中で琴の演奏を披露したとき、ずいぶんヘンテコな音がしたので、おや、無重力状態でまた新たな音の現象が…? と思いましたが、違いました。
宇宙に持って行きやすいように特注した小さな琴だったため音程が高く(弦が短いから当然ですね)、無重力状態では調弦(チューニング)が困難だったため、あんな音になったのだそうです。なあんだ、ちゃんちゃん。


では、冒頭の謎かけの答えです。
これが気になって授業に身が入らなかったなんて人はいませんね?

えー、「理想的な音の基礎講座」とかけまして、「刻々と変化する世界情勢」と解きます。
その心は?

「余談(予断)を許しません」

ああ、今回も許しまくってますね、理想にはほど遠いようです。
ということで、6時限目の授業は以上です。

今回をもって、とりあえず音の基礎講座は終了です。またいずれ機会があれば似たような事をやるかもしれませんので、お楽しみに(している人がはたしているのだろうか?)。
長い事おつきあい頂きまして、ありがとうございました。

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