末次由紀『ちはやふる』

2010.06.16(Wed)


ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)
(2008/05/13)
末次 由紀

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今回取り上げるのは、競技かるたを題材とした少女漫画『ちはやふる』です。ここで紹介するまでもなく今や大人気の作品で、昨年は第2回マンガ大賞、今年は宝島社「このマンガがすごい!」オンナ編第1位に選ばれています。講談社『BE・LOVE』に連載中で、単行本はつい先日第9巻が発売されました。次々に新しいキャラクターが登場し、目が離せない展開になっています。

題材となる競技かるたの奥深さもさることながら、主人公とその仲間が心に秘めた大切な物を守りつつ、それぞれが自身のコンプレックスや欠点と真正面から向き合い、格闘し、時に挫折しつつもお互いに影響し合い、成長していく姿が丁寧に描かれていて、とても感動的です。このあたりに人気の秘密があるのではないでしょうか。私も何度も泣かされてしまいました。

あらすじや登場人物などの紹介は他のサイトに任せて、ここではあくまでもサウンド・サイドから作品を見ていきたいと思います。

「なぜあんなに速く取れるのか」と、幼い孫に問いかけられた競技かるたの永世名人は、「かるたを大好きになって、毎日毎日やってたら、時々かるたの神様が音の一歩先を教えてくれることがある」と答えます。この謎のような言葉の意味は、物語が進むにつれて明らかになってくるのです。

競技かるたは音が大事である、と作品中で何度もくり返されます。
言うまでもなく、かるたは読手が読みあげる上の句を聞き、下の句が記された札を取り合う競技です。私は競技かるたに関してまったくの無知でありますから、この作品で初めてこの競技の過酷さ・奥深さを知ることになりました。競技者には記憶力・集中力・精神力・反射神経・体力・持久力・対戦者とのかけひき等々、さまざまなものが要求されるのですが、その中で非常に大きなウェイトを占めるのが「聴力」だというのです。

百人一首には、上の句の何文字目まで聞けば札が特定できるかという「きまり字」があります。最初の1字で特定できる「1字きまり」の歌は7つあり、きまり字は最長でも6字です。つまり上の句の17字中、6字までで勝負が決まるのです。

読手の声にいかに早く反応できるかを、作品中では「感じの良さ」と呼んでいます。熟練してくると、読手の癖や呼吸を把握する事によって次に読まれる文字を予測でき、場合によっては最初の1字を発音する前のかすかな響きを聴いて「1字きまり」の札を取ることができるというのです。
この驚くべき聴力は、生まれ持った才能もあるでしょうが、さらに経験と訓練を積み重ねることによって磨き上げられるもので、永世名人の言う「かるたの神様」とはまさにこの事なのでしょう。
人間の聴力の可能性は本当に計り知れないものがあります。

このようにかすかな音を重要視する競技かるたの会場では、窓を開けることはおろか、エアコンや換気扇などの暗騒音さえも許されないのだそうです。そんな張りつめた空気の中で、読手の発音の数十分の一秒に集中するという、研ぎ澄まされた感覚の世界には一体何が見えているのでしょうか? 凡人の私には想像することもできません。

この作品の冒頭は、主人公のこんなモノローグから始まります。
「お願い、だれも息をしないで」

・・・ シビれますね!


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