Dave Grusin『Migration』

2010.06.30(Wed)


MigrationMigration
(1989/09/12)
Dave Grusin

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ジャズ・フュージョンのファンでデイブ・グルーシンを知らない人はまずいないでしょう。キーボード・プレーヤーで作・編曲家、プロデューサーでもあり、数々の映画音楽も手がけています。GRPレコードの設立者でもあり、ジャズ・フュージョンという音楽ジャンルの発展に最も貢献した人物のひとりではないでしょうか。
そんなデイブ・グルーシンが1989年に発表したアルバム『マイグレーション』のサウンドには大変驚いた記憶があります。

楽器編成はとてもシンプルで、ドラム、ベース、パーカッションのリズム隊に、デイブ・グルーシン本人の多重録音によるキーボード類、そして曲によってギターやサックス等のゲストが参加するという形になっています。アルバムの最後にはアカデミー賞のオリジナル作曲賞を受賞した「ミラグロ(奇跡の地)組曲」が収録されていて、この曲だけオーケストラが入り、他とは少しカラーが異なっています。
デイブ・グルーシンによるアレンジは完璧で、余計な音も足りない音もまったく感じられません。全体的に落ち着いた大人の雰囲気のする楽曲が揃っていて、静かに聴かせる所やガツンと押し出す所といったメリハリも効いてます。
時に軽快に、時に繊細にと多彩な表情を見せるデイブ・グルーシンのピアノも素晴らしく良い音ですし、図太く重心の低いベースやタム等の低音もダイナミクス感たっぷりで迫力があります。そして何よりも全体が自然で気持ちのよいサウンドになっているのです。

さて、このアルバム『マイグレーション』のレコーディングエンジニアはドン・マレーという人です。私が初めてドン・マレーという名前を意識したのは、リー・リトナー&デイブ・グルーシンの「ライブ・フロム・レコードプラント」というスタジオ・ライブのビデオ(当時はLD)でした。全体にとても良い音質なのですが、特にカルロス・ヴェガのドラムの音の良さにびっくりしてしまい、それから意識して注目するようになりました。

リー・リトナーやデビッド・ベノワ等のアルバムでエンジニアを務め、素晴らしい作品を次々と世に送り出してきたドン・マレーのサウンドは、この『マイグレーション』で大きく変わったように思います。いや、完成した、と言ったほうがいいのかもしれません。おそらくダイナミクスのコントロールによるものでしょうが、太く重量感のある低音と、各楽器のリアルな響き、そして自然な音場感と音圧のバランスは、それまでに聴いた事のないものでした。
この、繊細さと奥深さと力強さとを兼ね備えた(篠原涼子の歌みたいですネ)サウンドは、90年代のフュージョンサウンドの大きな指標となったのではないでしょうか。
以降のデイブ・グルーシンのアルバムはもちろん、1991年にデビューしたフォープレイのアルバムも明らかにこの『マイグレーション』のサウンドを踏襲していると思います。

ところで、デイブ・グルーシンはこの『マイグレーション』以降、トリビュートものや映画のサウンドトラック等のアルバムは出しているものの、寂しいことに個人名義のオリジナルアルバムを発表していません。ファンとしてはぜひ次のオリジナルアルバムを聴いてみたいのですが、まさか『マイグレーション』でオリジナルは極めちゃったからもう出さない、なんて言わないですよね、デイブさん。
ジャズ・フュージョンブームの衰退は、あなたが新譜を出さない事も原因のひとつになっているんですよ。

なんちゃって。


   


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