山弦『JOY RIDE』

2010.07.21(Wed)


JOY RIDEJOY RIDE
(1998/08/05)
山弦

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全国的に梅雨明けが発表され、その途端に強烈な暑さがやってきました。こんな時期ですから、少しでも涼しげなCDを聴きつつレビューを書きたいと思い、今回は1998年にリリースされた山弦(やまげん)のファーストアルバム『JOY RIDE』をチョイスしてみました。山弦はスタジオミュージシャンとしても超有名なギタリストである佐橋佳幸と小倉博和によるアコースティックギター・デュオです。アコギのデュオといえば「ゴ」や「デ」がつく有名なグループもありますが、私はこの山弦が一番のお気に入りなのです。

サウンドの基本的な形態としては左チャンネル側に小倉氏、右チャンネル側に佐橋氏のギターが定位し、その他の楽器はセンター付近に集められています。(Wikipedia の紹介にもそれぞれの名前とともに定位が明記されていて、笑ってしまいました。漫才コンビの立ち位置みたいですね)
ただし二人のギターは曲によって左右に大きく振り分けられている場合もあれば、中央付近に寄り添っている場合もあります。ベースの音色は太く、ほぼ高域成分がないと言っても良いくらいの音で、ギターを邪魔しないという配慮が感じられますが、演奏のフレーズは多彩で聴き応えは充分です。また、ドラムは打ち込みですが音色は非常に地味で、まったく出しゃばっていません(この点は「ゴ」のつくグループと大きく違うところだと思います)。他にパーカッションやキーボード、曲によってはブラスセクションも入ってきますが、あくまで主役はギターであるというスタンスはきっちり保っています。

このアルバムの一番の聴き所は何と言っても、アコースティックギターの多彩な音色でしょう。ライナーノーツには曲ごとに使用しているギターの型番の他に写真も載っていますが、それぞれのギターによる音色の違いはもちろん、奏法のニュアンスによる音の変化を楽しむこともできます。アコースティックギターといえばシャリシャリした高域中心の歯切れの良い音を思い浮かべる人が多いでしょうが、ゴリゴリとした低音も大きな魅力のひとつです。繊細なアルペジオから、ボトルネック奏法のノイジーでラフな音色、力強いピッキングによる弦のビビリを含んだ荒々しい音まで、本当にギターという楽器のポテンシャルの高さを再認識できるアルバムだと思います。

7曲目「MONDAY'S CANDY」は、音色としてはアコースティックギターに近い感じですが、エレキギターによるデュオの曲です。これが思いのほかノイジーで、プチッという電気的なノイズがあったり、(おそらくピックアップからの)ハムノイズがずっと聞こえていたりしますが、これはきっと意図的なものでしょう。曲の雰囲気を構成する素材のひとつとしてノイズも活かしてあるのだと思われます。が、私はちょっと気になってしまいますね(笑)。

山弦の特徴として、二人のギターが常に対等であるという点が挙げられると思います。メロディを担当する方がメインになるとか、どちらか片方がソロをとるという発想ではないのでしょう。もちろん優れた演奏テクニックがあればこそのスタイルなのですが、これがデュオとしての奥深さに繋がっているのだと思います。
そして、演奏時の息づかいさえ聴こえるような(実際に聞こえます)リアルな録音によって、ボディアクションやアイコンタクトでコミュニケーションをとり演奏する二人の姿が見えるかのようなサウンドです。

もちろんサウンドだけでなく、楽曲や演奏も大変素晴らしいアルバムです。時にシリアスに、時には遊び心に溢れたギタープレイと、聴き所は満載です。ギターファンはもちろん、そうでない人にもお勧めしたいCDです。

今回久しぶりにこのアルバムを聴いてみましたが、思っていた以上にバラエティに富んだ内容で、それほど涼しげなCDという訳ではありませんでしたね(笑)。
失礼しました。


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