Simon & Garfunkel「THE SOUND OF SILENCE」

2010.08.11(Wed)


Collected WorksCollected Works
(1990/01/05)
Simon & Garfunkel

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サイモン&ガーファンクルの名曲「サウンド・オブ・サイレンス」は、1964年に発表されたデビューアルバム『水曜の朝、午前3時』に収録されていました。このアルバムはまったく売れなかったのですが、「サウンド・オブ・サイレンス」は一部の地域のラジオで話題になり、それを聞きつけたプロデューサーが本人達に無断でドラム、ベース、エレキギターを付け加えてシングル発売したところ大ヒットとなった、というのは有名な話で、もはや伝説と言っても過言ではないでしょう。
この大ヒットを受けて製作されたアルバム『サウンド・オブ・サイレンス』は1966年にリリースされ、もちろんシングルバージョンの「サウンド・オブ・サイレンス」も収録されました。

今回はこの2つのバージョンの「サウンド・オブ・サイレンス」を、サウンド・サイドから聴き比べて、伝説の検証をしてみようと思います。
聴き比べに使用した音源は、サイモン&ガーファンクル全集『COLLECTED WORKS』です。

まずは個別に聴いていきます。
『水曜の朝、午前3時』に収録されていた方のバージョン(こちらを「A」と呼びます。アコースティックのAです)は、左チャンネルにアート・ガーファンクルのボーカル、右チャンネルにポール・サイモンのボーカルとアコースティックギターを聞くことができます。そして中央からはもう1本のアコースティックギターが聞こえ、さらに、目立ちませんがベース(ギターの低音弦かもしれませんが、それにしては低すぎる気がします)もあるようです。
この曲のレビューなどで時々見かける「伴奏はポールのギター1本のみ」という表現は間違いですね。「ポールのギターのみ」というのならば、ポール・サイモンによるオーバーダブでしょうから、それは間違いではないでしょう。
非常にシンプルな構成ですが、ひとつひとつの音はナマナマしく、なかなか良い音で録音されています。

アルバム『サウンド・オブ・サイレンス』に収録されたシングルバージョン(こちらは「B」と呼びます。バンドのBです)は、中央に2人のボーカルとアコースティックギターが寄せられ、左チャンネルにドラムとエレキベース、右チャンネルにエレキギター(12弦でしょうね)という定位になっています。
後から重ねたと言われる楽器、特にドラムは中高音の張り出した耳にイタイようなウルサい音です。曲の雰囲気にマッチしているとは思えませんが、当時のロックのイメージはこんなサウンドだったのでしょうか。

さて、「B」は本当に「A」にバンドの楽器を重ねただけものなのでしょうか。検証するために、両方の曲をパソコンの音楽ソフトに取り込み、同時に再生してみました。これで元となる「A」のボーカルやギターが「B」とピタリと一致すれば、この曲にまつわる伝説は正しいと証明できます。

S&G_wave

アタマを合わせて再生してみると、途中からだんだんズレてきます。ほんの少しだけスピードが違っているようです。意外なことに、ロック調の「B」のほうが少し遅い事がわかりました。音楽ソフトのタイムストレッチ機能を使うと、およそ0.2%のスピード誤差があり、それを修正してみると、両方のボーカルがピッタリ一致しました。この約0.2%の誤差は、アナログテープレコーダーの回転誤差の範囲内でしょうから、少なくとも「A」と「B」のボーカルは同一であると断定できます。ギターに関してはイントロくらいしか判別できませんが、「A」に楽器を重ねて「B」を製作したのは間違いないと言えるでしょう。

S&G_Time-s

ちなみにテープの速度が違うということは、ピッチ(音程)も微妙に違うという事になりますが、両者にピッチの違いは感じられませんでした。私が絶対音感はおろか相対的な音感さえアヤシイ人間だという事を差し置いても、この程度の誤差でピッチの違いを感じることは難しいのではないでしょうか。

では、「B」を録音する際に使用した「A」は、完成品のマスターテープだったのでしょうか。それとも録音素材であるマルチトラックテープを使用したのでしょうか。「B」に使用されている「A」の音はモノラルかそれに近い状態にミックスされてステレオの中央に定位しているので、どちらの可能性もあると思います。
そこで注目したのが、「A」のイントロです。右チャンネルのギターのアルペジオのみというイントロですが、よく聴くとまだ2本目のギターが鳴り出していない中央のチャンネルから、ギターのボディに何かがぶつかったような、コトリというノイズがかすかに聞こえます。が、同じくギターのアルペジオのみの「B」のイントロには、このノイズは聞こえません。ミキシングされたマスターテープからこのノイズを除去することは不可能なので、これはマルチトラックテープを使用したと考えて間違いないと思います。
「B」が録音されたのは1965年頃ですから、当時はマルチトラックといってもトラック数は少なかったはずです。それでもある程度録音素材は別々になっていたはずなので、マスターテープを使用するよりは録音の自由度は高かったでしょう。

「B」の音質を見てみると、後から重ねた楽器の刺激的なサウンドに合わせるように、ボーカルやアコースティックギターも高域を強調した固い音にイコライジングされています。そのため、ボーカルのリップノイズも強調され、少々耳障りに感じる部分もあります。
また、弾き語りに近い形で録音された「A」はテンポが一定でなく、大きく揺れています。そこにドラムを合わせるのは至難の業だったはずで、結果的に「B」は不自然に遅くなったり速くなったりするように感じる部分ができてしまっています。

全体的に「B」はかなり荒っぽい曲に仕上がっています。が、こういった刺激的かつ不安定なサウンドにのせて、難解で知的な歌詞を美しいハーモニーを伴って歌うというこのバージョンの「サウンド・オブ・サイレンス」は、この時代のニーズにぴったりハマッたのでしょう、大ヒット曲となりました。本当に流行というものはわからないものですね…。


さて、お遊びとしてですが、サイモン&ガーファンクルに敬意を表して(?)この記事は水曜の朝 午前3時に、音もなく(当たり前だ!)投稿いたしました。


  


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