Smappies 「Theme of 007 (James Bond Theme)」

2010.09.01(Wed)


SMAPPIES~RhythmsticksSMAPPIES~Rhythmsticks
(1996/04/24)
インストゥルメンタルナタリー・カーティス

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1996年に発表されたスマッピーズの『Rhythmsticks』というアルバムはジャズ・フュージョンのファンに大きな衝撃を与えました。その名前から連想できる通り、このアルバムはSMAPのアルバムに参加しているミュージシャンがSMAPの曲を演奏しているというもので、クレジットされたミュージシャン達は超大物がずらりと並び、内容はファンク、ラテン、ビッグバンド、ボサノバ、ゴスペル等と多彩で、演奏のクオリティも飛び抜けて高かったのです。本当にこれが日本のアイドルグループの曲なのか、と思った人も多かったのではないでしょうか(私もそうでした)。

今回はこの『Rhythmsticks』の1曲目の、強烈なインパクトを持つ「Theme of 007」と、1995年にリリースされたSMAPのアルバム『SMAP 007 Gold Singer』に収録されているバージョンの「Theme of 007」を、聴き比べてみたいと思います。

当時、一部の目ざといフュージョン・ファンは、SMAPのアルバムで世界的大物ミュージシャン達がプレイしている事を聞きつけ、細かくチェックしていたようですが、ほとんどのフュージョン・ファンはSMAPの曲などには興味を持つこともなかったと思います。そんな人達(私も含めてです、ハイ)は『Rhythmsticks』のオープニングを飾る「Theme of 007 (James Bond Theme)」を聴いた時、そのカッコ良さに狂喜乱舞(大げさ?)したのではないでしょうか。

これは言わずと知れた映画007シリーズのテーマ曲で、フルオーケストラ(このメンバーもそうそうたる顔ぶれです)に、ビニー・カリウタ、ウィル・リー、ハイラム・ブロック、ジム・ビアードといった強力リズムセクションがファンクな色合いを加え、デイブ・バレンティン、マイケル・ブレッカー、ランディ・ブレッカーがそれぞれソロをとるという、フュージョン・ファンが嬉しさのあまり卒倒しそうな超豪華な曲なのですが、実はSMAPのアルバム『SMAP 007 Gold Singer』のラスト13曲目に(演奏はほぼそのままの形で)、まるでオマケのように収録されています。このアルバムの購入者のうち、一体どれだけの人がこの曲の音楽的価値に気付いていたのでしょうか。などという恨み言はさておき。

前置きが長くなりましたが、早速聴き比べていきます。
例によって『SMAP 007 Gold Singer』に収録されているバージョンを「A」、『Rhythmsticks』に収録されているバージョンを「B」と呼ぶことにします。

演奏に関しては、「A」のテーマからアドリブに移り変わる部分のブラス系シンセが、「B」では生のブラスに差し替えられています。やはりジャズ・フュージョンのファンは、このシンセサイザーの音色には納得できないでしょうから、これは懸命な判断ですね。それ以外に演奏の違いは見当たりませんでした。
wikipediaなどの解説には、「B」は再レコーディングされたものと書かれていますが、演奏の細かい部分までまったく同じなので、これは再レコーディングではなく、「A」の演奏の一部に手を加えたものと言ったほうが正しいと思います。

ただし、ミキシングは大きく異なっています。このため印象が違って聞こえるので再レコーディングであると勘違いしたのかもしれませんね。ここでは、このミキシングの違いに注目していきたいと思います。

全体的な印象としては、「A」はドラムとベースを強調し、ビート感やパワー感を重視したヘビーなサウンドで、オーケストラのサウンドも大きなひと固まりとして捉えられているように感じます。それに対して「B」は、高域を強調した明るいサウンドになっています。オーケストラとしてのバランスを重視したそのサウンドはくっきりと分離し、広がり感が演出されています。
「A」はポップス系のボーカルアルバムに収録されている訳で、他の曲との整合性も考慮してミキシングされているため、フュージョン系の「B」とは違っていて当然ですが、同じ曲でここまで解釈の異なるミキシングがされているケースは珍しいと(わざと解釈をねじ曲げたリミックス・バージョン等は別として)思います。

それぞれのバージョンでミキシング・エンジニアが違うので当然のことですが、各楽器の定位やバランスにも違いが見られます。タムの配列などは左右まったく逆になっていますし、ギターの定位も明らかに違っています。また、特にイントロ部分などは判りやすいですが、オーケストラの中でも強調される楽器が違っていたりします。
デイブ・バレンティンのトリッキーなボイス・パフォーマンスとフルートのソロは、「A」と「B」に大きな違いは感じられませんが、ブレッカー・ブラザーズによるサックスとトランペットのソロに関しては、「A」のほうがリズムセクションに対してやや奥まった位置から聞こえてくるようにミックスされています。
そして前述の通り「A」はドラムとベースが強調されているため、ビニー・カリウタの非常に細かいハイハット・ワークや、ウィル・リーのちょっとした心憎いフレーズ等を、よりハッキリと聴き取ることができます。

もちろんそれぞれのミキシングに優劣をつけることはできませんが、その違いの大きさゆえに好みは分かれそうです。私は、そうですね、トータルのバランスとしては「B」が好きですが、やや高域を強調しすぎているようにも感じられます。一方、「A」のパワー感も捨てがたいですね。ただ、あのブラス系シンセの音はいただけません。
もしも機会と興味があれば、是非ご自分の耳で聴き比べてみて頂きたいと思います。

また、「A」と「B」には本当に微妙なスピードの誤差がありました。レコーディングのすべての工程をデジタルで行っていればこのような誤差は生じないはずなので、もしかしたらどちらか片方はマスタリング等の段階で音質の変化を狙い、一旦アナログ・テープレコーダーに録音されているのかもしれません。音質傾向から見て「A」の方だと思いますが、これはあくまで推測です。


この『Rhythmsticks』に収録されている曲は、SMAPのオリジナル曲とはまったく違うアレンジに変更し、新たに録音されている曲もありますが、この「Theme of 007」のように、ボーカル以外のリズムトラックやソロ演奏などがそのまま使用されている曲も多くあります。
色々と面白い発見がありそうなので、いずれまた取り上げてみたいと思っています。





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Category: CDレビュー > JAZZ/FUSION

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