Yellow Magic Orchestra『SOLID STATE SURVIVOR』

2010.09.29(Wed)


ソリッド・ステイト・サヴァイヴァーソリッド・ステイト・サヴァイヴァー
(2003/01/22)
YMO

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30年以上も前に結成され、わずか5年ほどの活動期間で散開したイエロー・マジック・オーケストラですが、その後も人気は衰えることなく、再結成や様々な企画により現在でも度々メディアに登場しています。最近でもお菓子のTVCMで、懐かしい曲をバックにコミカルな雰囲気のメンバー3人が顔を揃えていました。
今回は1979年に発表され大ヒットしたアルバム『SOLID STATE SURVIVOR』の、2003年にリリースされたリマスター版CDを聴いてみました。

私が初めてこのアルバムを聞いたのは中学生の時でした(年齢がバレますね)。クラスメイトに熱狂的なファンがいて、半ば押し付けられるようにして数枚のレコードを借りたのですが、私にはその良さがまったく理解できませんでした。テクノポップという音楽が登場した当時、その好き嫌いはハッキリと2つに分かれていたと記憶しています。

コンピュータのジャスト・ビートやシンセサイザーのシーケンスは、まだテレビゲームの効果音くらいの認識しかなかった当時、テクノミュージックはピコピコサウンドなどと呼ばれていたはずですが、30年ぶりに聴いてみるとちっともピコピコしていません。思っていたより普通に聴けてしまいました。
前年に発表されたファーストアルバムの『Yellow Magic Orchestra』では、本当にゲームの音を再現していたりしましたが、この『SOLID STATE SURVIVOR』では曲調もよりキャッチーなものになり、ロックやニューウェーブ色と共にいかがわしい雰囲気(笑)も増して、バンドとしての路線がより明確になってきたように思います。

前述の通り、このCDはリマスタリングされたものです。オリジナルと聴き比べてはいませんが、音圧が上がりよりクリアな音になっている事は間違いないでしょう。そのためか冒頭のボコーダー・ボイスや、他の曲のイントロ部分などではバックに小さなノイズが聞こえています。これは録音テープのヒスノイズではなく、シンセサイザーから出る残留ノイズではないかと思います。もちろんアナログレコードではまったく気にならなかった(というか聞こえなかった?)でしょうね。オーディオのクオリティが上がるとこんなアラ探しができてしまったりします。

さて、ドラムは基本的に生ドラムの音ですが、非常にタイトで硬質なスネアとバスドラム、そしてハイハットのみが用いられているようで、生のシンバルやタム類は聞こえてきません。リリースの長い音や深みのある音は生音ではなくシンセサイザーを使うことが、テクノっぽさにつながるのでしょうか。
ちなみにシンセサイザー以外の楽器としては、ビートルズのカバー曲「DAY TRIPPER」と表題曲の「SOLID STATE SURVIVOR」でエレキギターが入っていますが、かなりエフェクティブに使われています。「TECHNOPOLIS」のスラッピング・ベースもパルス的で、どちらかと言うと効果音的な扱いのサウンドだと思います。

また、「BEHIND THE MASK」ではスネアと同時にノイズ系のシンセサイザーが鳴っていますが、これがゲートリバーブのような効果を出しています。ヒュー・パジャムによるゲートリバーブが世界中を驚かせたのは多分80年代に入ってからのはずですが、同時期またはそれ以前に、既にこんな事をやっていたのですね。
このノイズ系シンセの音は、スネアと同じ中央定位から右チャンネルに移動していきます。これは当時の最先端技術だったコンピュータによるミキシング・オートメーション(いわゆるコンピュミックス)を用いてパンポットの操作をしているのではないでしょうか。

この「BEHIND THE MASK」のボコーダー・ボイスはかなり位相をいじってあるように聞こえます。オシロスコープを見た訳ではありませんが、逆相成分が相当含まれている気がします。このアルバムが発表された当時はもちろんCDなどなく、アナログレコードが音楽媒体の主流でした。アナログレコードをカッティングする際に逆相成分が含まれていると問題が起きると聞いたことがありますが、このアルバムは大丈夫だったのでしょうか。と、余計な心配をしてみたりして(笑)。
リマスタリング時にボコーダー・ボイスだけの位相をいじるのは難しいでしょうしね。

効果音的なシンセサイザーが随所に入り、そういったギミック的な部分が印象に残りやすいのですが、最大の聴き所はシンセサイザーによるオーケストレーションでしょう。演奏面ではシーケンスを含めた細かいフレーズや長いフレーズ、音程、音色面ではリリースの長い音・短い音、硬い音・柔らかい音、太い音・細い音、録音技術的には定位や奥行き、エフェクトの深さまでもが絶妙に配置されています。生楽器のアンサンブルとは違い、シンセサイザーの音色選択には無限の幅がある訳で、その組み合わせを間違えると途端に格好悪い音楽になってしまうのは容易に想像できます。それぞれの曲の高い完成度は、もちろん坂本龍一氏をはじめとするメンバーのセンスと音楽的才能によるものでしょうし、そんじょそこらのバンドには真似のできない部分です。ましてや当時はまだ誰もやったことのなかった音楽です。オーケストラと称するバンド名は伊達ではありませんね。

確かな才能を持った新しもの好きなミュージシャンやクリエイターが、最先端の技術を取り入れて実験的な試みを繰り返していく。そうやってポピュラーミュージックは進歩していくのでしょう。好き嫌いはともかく、イエロー・マジック・オーケストラが残した足跡は深く大きなものだったに違いありません。

余談ですが「TECHNOPOLIS」の中で聞こえてくる「T.E.C.H.N.O.P.O.L.I.S」というボコーダー・ボイス、私にはどうしても最初の「T」が「V」に聞こえてしまいます。「VECHNOPOLIS」…? これは何かの洒落なのでしょうか。それともボコーダーの特性で「T」が「V」に聞こえてしまうのでしょうか。もしかして私のオーディオ・システムに問題があるのでしょうかねえ(笑)。





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