Chick Corea『THE CHICK COREA ELEKTRIC BAND』

2010.10.06(Wed)


ザ・チック・コリア・エレクトリック・バンドザ・チック・コリア・エレクトリック・バンド
(2003/11/21)
チック・コリア

商品詳細を見る


今回は1986年に発表されたチック・コリア・エレクトリックバンドのファーストアルバムを取り上げてみたいと思います。エレクトリックバンド名義のアルバムはこの後も数枚にわたってリリースされるのですが、この『THE CHICK COREA ELEKTRIC BAND』は、その中でも最もコンセプトが明確に表れているアルバムだと思います。

チック・コリアの音楽について難解で複雑だという印象を受ける人は多いと思います。その要因のひとつは、どこからどこまでがアドリブで、どこからどこまでが決められたメロディなのか、判然としないその曲調にあるのではないでしょうか。調性も曖昧で無彩色な印象のメロディーは、やはり聞き慣れない人にはよく理解できないものかもしれません。
この『THE CHICK COREA ELEKTRIC BAND』でもその曲調は健在ですが、シンセサイザーを多用することによって音色の側面からカラフルさが付加され、多少は聞きやすくなっているかもしれません。

収録された曲名からは、どうやらこれは「ELEKTRICK CITY」という未来都市のようなものを表現したアルバムであろう事が想像できます。これはシンセサイザーを多用したジャズにピッタリのコンセプトだと思います。そう思って聴いてみると、映像的な広がりを感じることができる、と思うのは私だけでしょうか?(笑)

演奏は超絶技巧の応酬というほどではありませんが音数が多く、アクセントとなるキメのフレーズも多彩にあり、なんとなく窮屈で、サウンドもガチガチに硬いという印象があったのですが、改めてよく聴いてみると、タイトではあるものの意外に柔らかいサウンドでした。全体にリバーブがしっかりと乗っていて、どちらかというとウェットなサウンドといった印象です。

縦横無尽に繰り出されるデイブ・ウェックルのタム類も決して硬い音ではなく、左右のチャンネルの間に無数に散らされた感じで、音数の多さをたっぷりとしたリバーブでつないでいるように聞こえます。シンバルやハイハットも控えめにミックスしてあり、派手な感じはしません。曲によっては左右のチャンネル両方にそれぞれ別のリズムパターンを刻むハイハットが聞こえてきたりします。さすがにこれはオーバーダブでしょうが、複雑怪奇なドラムセットを自由に操るデイブ・ウェックルの事ですから、もしかして2本のハイハットを同時に叩いている? などとも思ってしまいます。
今となっては懐かしいシモンズやリンといった電子的なドラムの音も下品にならず、いい感じのサウンドになっています。もちろん派手に押し出す部分では目一杯前面に出てきて、メリハリも充分に効いています。

キーボードの音色は色々ですが、中でもヤマハ独特のきらびやかなエレキピアノ系のものを好んで使用しているようで、ソロパートではベンダーを使い、ギターのチョーキングのようなフレーズも演奏しています。そしてキーボード類にもリバーブはしっかりとかかっています。シンセサイザーによるギミックな効果音は頻繁には出てきませんが、8曲目から9曲目に切り替わる部分など、必要な箇所では大胆な効果音が用いられています。

リズムやフレーズは本当に驚くほど多彩で、更にシンセサイザーによる自由な表現を取り入れたこのアルバムのサウンドはとても複雑なものですが、その堅苦しさを和らげているのはシンセサイザーのカラフルな音色と、柔らかめに加工されたサウンド、そしてリバーブを多用した巧みな空間処理のようです。
エレクトリックバンドという名前からはコンピュータを駆使したテクノ系の音楽を想像しがちですが、決してそういった類いの音楽ではなく(コンピュータは使用しているでしょうが)上質なジャズ・フュージョンのアルバムに仕上がっていると思います。


  よろしければランキング投票をお願いします→ 

COMMENT

POST COMMENT


プロフィール

さはんじ

Author:さはんじ

FC2カウンター

ブログランキング参加中


にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村
ブログランキングならblogram

おきてがみ


足あとを残せます。

アーカイブ

 

検索フォーム

Amazon 特集情報



Google AdSense

まずは「知る」ことが大切


blogram

にほんブログ村ランキング

↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。