CHEMISTRY『The Way We Are』

2010.11.03(Wed)


The Way We AreThe Way We Are
(2001/11/07)
CHEMISTRY

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テレビのオーディション番組で結成された男性デュオのケミストリーは、デビュー曲からいきなりの大ヒットを飛ばし、あっという間に日本を代表するトップアーティストになってしまいました。その後もコンスタントに楽曲を発表し続けていますし、タイアップや他のアーティストとの共演が多いことからもその人気の高さがうかがえます。
今回は2001年に発表され大ヒットしたファーストアルバム『The Way We Are』を聴いてみたいと思います。

ケミストリーのファーストアルバムは、ボーカルに定評のある彼ららしくアカペラのイントロ曲から始まります。収録されたいくつかの曲間にはインタールード(間奏曲)が挿入され、その構成はRCA時代の山下達郎を彷彿とさせます。そういえば楽曲もちょっと似た感じかもしれません。基本的にはR&Bを基調とした楽曲が多く、その幅をヒップホップやジャズに広げているようです。

さて、そのサウンドですが、ボーカルはかなり高い周波数を強調したような、ヌケの良いスッキリとしたやや硬めの音で、音圧の高いバックの演奏にも埋もれる事がありません。基本的に2人のボーカルは中央に定位し、コーラスは適度に左右に広がっています。楽曲によっては特殊なエフェクトもかかっていますが、全体的にボーカルは自然なサウンドと言って良いでしょう。

アルバムの終盤に収録されている楽曲を除いて、ほとんどの曲に共通しているのが刺激的かつ無表情な打ち込みのリズムです。まさにヒップホップそのものといった5曲目「BROTHERHOOD」はもちろんこのサウンドがぴったりはまっていますが、他の曲に関してはどうなのでしょう。こういった打ち込みのリズムを生ドラムの感覚でとらえてはいけないのかもしれませんが、私にとってはスネアドラムの位置に入っている硬質な音やハイハットの代替音となるサウンドが耳障りで、楽曲の邪魔をしているような気がしてなりません。また柔らかめな音色のバスドラムやベースのリズムも重く、軽快なメロディーにストップをかけているように感じます。大ヒットしたシングル曲の「PIECES OF A DREAM」や「Point of No Return」についても同様の印象を受けました。バラード曲の「You Go Your Way」のリズムは控えめで生ドラムに近い音色が選ばれていますが、やはり細かく無表情なハイハットやカバサ風のサウンドがうるさく感じられます。
そんな中で7曲目の「C'EST LA VIE」は他の曲とはカラーが異なり、楽曲のイメージと打ち込みのリズムや音色がうまく作用し合って、効果的なサウンドになっていると思いました。ただ、やはりこういったサウンドはアルバムの中に1曲だけあるから新鮮なのかもしれませんね。

リズム以外の楽器についても打ち込みが多く、いくつかの曲で聞けるアコースティックギターを模したシンセサイザーのアルペジオ音が印象的です。これも生ギターと比べれば非常に無表情なサウンドで、ボーカルを引き立てるためにわざとこういったサウンドを用いているのかもしれませんが、私にはなんだか嘘っぽく聞こえてしまい、少々興ざめで効果的とは思えません。もしかしたらこういう冷めたサウンドが現代ではいわゆる「クール」なサウンド(両方の意味で)なのでしょうか。うーん、歳とったのかなあ>ぢぶん
それに対して、時折聞こえるフェンダーローズ(といってもだいぶ新しいローズだと思いますが)の音は、なんだかホッとさせてくれます。他にも曲によってはギターやピアノ、オルガンといった楽器が入り、ちょっと安心できます(笑)。

11曲目「星たちの距離」は、なんとジャズ・ボーカリスト、ケイコ・リーとのデュエットとなっていて、演奏もケイコ・リーと彼女のバンド、ドキドキ・モンスターズによるものです。ゆったりとしたバラードでそれまでの曲調とはまったく違いますが、柔らかな音色のバスドラムをやや強調してあり、なんとなく他の曲とイメージがつながって聞こえるような気がします。
また、10曲目のラストに挿入されているケイコ・リーによるインタールードは圧巻で、深みのあるピアノの低音はこのアルバムのどんなサウンドよりも迫力に満ちています。

ラスト12曲目「Motherland」はポップな曲調である上に完全に生バンドによる演奏で、それまでの緊張感から解放される感じです。ドラムはモノラルにミックスされ、中央に定位しています。また、ブラスセクションも基本的に中央付近に寄せられ、わざと広がりを抑えてミキシングされているように思います。これも他の曲との整合性を考慮したミックスなのでしょう。
最後は伴奏だけがフェードアウトして2人のボーカルのみが残り、ボーカルで始まりボーカルで終わるという演出で、このアルバムは幕を閉じます。

アルバム全体の印象として、特にリズムはヒップホップのサウンドを大胆に取り入れているようです。最近のJ-POPではこういったサウンドをよく耳にしますね。確かに刺激的で目新しい音ではありますが、楽曲とのマッチングを軽視して流行を取り入れたサウンドは、えてして古びてしまうのも早いような気がします。
このアルバムはメロディーやボーカルはとても魅力的なものがあるだけに、このサウンドが一時の流行として風化していくのか、時代が生んだ新しいサウンドとして定着し続いていくものなのか、気になりますね。結論が出るのは…あと20年くらい経ってからでしょうか(笑)。


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