Donald Fagen「I.G.Y.」

2011.05.11(Wed)


Melodies-The Best of AOR-Melodies-The Best of AOR-
(2003/07/16)
オムニバス、フィニス・ヘンダーソン 他

商品詳細を見る


ドナルド・フェイゲンの「I.G.Y.」は、以前にこのブログのレビューでも取り上げたことのある『The Nightfly』というアルバムの1曲目に収録されている曲です。
最近、『Melodies -The Best of AOR-』というコンピレーションCDを聞く機会があり、この中にも「I.G.Y.」が収録されていました。こういったオムニバスアルバムはまったく違う環境でレコーディングされた様々な曲が収録されていて、それらの整合性を考えてリマスタリングされているはずです。そこで今回は、『The Nightfly』と『Melodies -The Best of AOR-』に収録された「I.G.Y.」はサウンド的にどのような違いがあるのか、聴き比べをしてみようと思います。

ここでは便宜上、CD『The Nightfly』に収録されている「I.G.Y.」を「オリジナル版」、『Melodies -The Best of AOR-』に収録されている「I.G.Y.」を「コンピレーション版」と呼ぶ事にします。この曲はアナログレコードとして発表される事を前提としてレコーディングされており、実際にCD化されたのはさらに年月を経た後なので、CDを「オリジナル」と呼ぶのは厳密には間違いだと思いますが、あくまでも便宜上の名称であることをご了承ください。

「オリジナル版」と「コンピレーション版」を聴き比べてみると、まずその圧倒的な音量差に驚かされます。パソコンに取り込み、その波形表示を比べてみるとまさに一目瞭然です。

IGY

もちろんリマスタリングされている「コンピレーション版」のほうが音量が大きいのですが、聴感上の音量を揃えるようにボリュームを調整してみると、その音量差はなんと8dBもありました。「オリジナル版」はデジタルの最大音量まで2dBほどのマージンが認められましたが、それを考慮してもリマスタリングのダイナミクス調整によって6dBもの音量(音圧)が稼げている訳です。

デジタル音声の最大音量を越えることはできないので、「コンピレーション版」はかなりのコンプレッションがかかっているはずです。が、聴感上の音量を揃えて再生してみると、全体的な音質やミックスバランスなども含めて、両者にサウンド的な差異はほとんど感じられませんでした。このマスタリング技術の優秀さは驚異的と言えるでしょう。

が、それで終わるのは悔しいので(笑)よりシビアに、それこそ重箱の隅をつつくようにして細かく聴き比べてみることにします。

スネアの音などはいくら聴いても違いは感じられないのですが、よ~く聴くとベース等の低音は「コンピレーション版」のほうが太い感じがします。しかしその分「オリジナル版」のほうが輪郭が際立って聞こえます。ギターのカッティングもシャキッとしているようです。
また、ボーカルも「オリジナル版」のほうがメリハリが効いていて表情豊かに聞こえます。エレキピアノの音も若干大きく聞こえるかなあ、という気もします。
いずれにしてもその差は微妙で、もしかしたら私の先入観による聴き違いかもしれません(汗)。そのくらい本当に微妙だと思ってください。

音量差はあるにせよ、これほど「オリジナル版」の音質に忠実なマスタリングがされているとは思いませんでした。『Melodies -The Best of AOR-』に収録されている各曲は、もしかしたらダイナミクス調整によって音量のみを整え、音質やバランスについてはオリジナルを極力尊重した音づくりがされているのかもしれません。もちろんすべての曲について聴き比べて検証しなければ断言はできませんけど。


私はこれまでこういったコンピレーションCDはあまり興味がなかったのですが、この『Melodies -The Best of AOR-』はとても心地よく聴けました。選曲もなかなか的を射ていると思います。昔を懐かしむだけでなく、ドライブや日常のBGMとしても楽しめそうです。

余談ですが、クリストファー・クロスの「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」って、日本でつけた邦題だったんですね。私はずっと原題だと思ってました…。





  よろしければランキング投票をお願いします→ 

COMMENT

Ryoji Suzuki

マジック

こんばんは♪

聴覚的なところで
ほとんど差異を感じない
ようにアタックの帯域を
並べ替えることで
レンジが稼げるのを
ようやっと
このごろ取り組んでみよう、
という気になっています。

上の波形のように
なるんですよね。

というか、
波形の視覚状態で
音像がみえる、みたいな。

…マスタリング技術。

これまでは
箱に放り込んでいただけなので
ぼくもすこしずつ
チャレンジしたい、
今、興味の高いもののひとつです。

Ryoji Suzuki

2011.05.12(Thu) 22:59 | URL | EDIT

さはんじ

Re: マジック

>Ryoji Suzukiさま
コメントありがとうございます!

一般に、2ミックスに対して深いコンプレッションをかけるとミックスバランスが変わってしまうという傾向があります。周波数帯域をいくつかに分けてそれぞれに圧縮をかけるマルチバンドコンプレッサーは、より自然な感じの効果が得られますが、バランスに関しては同じ事が言えます。最近流行のレベルマキシマイザーの類も同様です。

コンプレッションをかける目的は、様々なリスニング環境でも同等に聞きやすい音にする事が大きいでしょうし、それゆえにマスタリングは重要なプロセスだと思います。

元の音楽の持つフィーリングやサウンドを損なうことなく、よりアピールすることのできるサウンドを作り出す。そこにはミキシングとはまた違ったテクニックやノウハウが必要とされるのでしょうね。

2011.05.13(Fri) 13:49 | URL | EDIT

POST COMMENT


プロフィール

さはんじ

Author:さはんじ

FC2カウンター

ブログランキング参加中


にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村
ブログランキングならblogram

おきてがみ


足あとを残せます。

アーカイブ

 

検索フォーム

Amazon 特集情報



Google AdSense

まずは「知る」ことが大切


blogram

にほんブログ村ランキング

↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。