Andrew Gold『ANDREW GOLD』

2011.06.20(Mon)


Andrew GoldAndrew Gold
(2005/06/21)
Andrew Gold

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今月に入ってネットニュースでひっそりと伝えられたアンドリュー・ゴールドの訃報はあまりに突然でショックでした。シンガーソングライターでスタジオミュージシャン、さらにはあらゆる楽器を弾きこなすマルチプレーヤーでもあるアンドリュー・ゴールドは、本当に音楽的才能の豊かなミュージシャンであったと思います。
今回はそんなアンドリュー・ゴールドの、1975年に発表されたデビューアルバム『アンドリュー・ゴールド・デビュー』を聴いていきたいと思います。
…そのまんまのタイトルですねえ(笑)

このアルバムに収録されている10曲のうち、6曲はアンドリュー・ゴールド本人がドラム、ベース、パーカッション、ギター、キーボードといったほぼ全ての楽器を演奏しています。他の4曲もドラムとベース、スチールギターにゲストを迎えているだけというスタイルで、まさにマルチプレーヤー・アンドリュー・ゴールドの独壇場(?)という感じです。そしてそれがこのアルバムのサウンドの大きな柱になっているのは言うまでもないでしょう。ちなみにコーラスやストリングス、ブラスに関しては他のミュージシャンが参加しています。

アルバムの全体的な印象としては、アレンジとサウンドのセンスが本当に素晴らしいと感じました。明るいロックンロールを基調とした曲が多いのですが、コーラスやストリングスがいい感じに用いられていて、良質なウェストコースト・ポップ・ロック(そんな言葉あるのか?)となっています。
ボーカルは比較的柔らかい音であまり前面に出て来ず、逆にメリハリの効いたクッキリサウンドのドラムやギターには迫力が感じられます。しかしボーカルはやや奥まっているもののハッキリと聴き取ることができます。このあたりはアレンジと、奥行きを計算したエンジニアリングによるものでしょう。
また、軽快な曲と、どっしりと落ち着いた曲の高音・低音のバランスも絶妙だと思います。

全体に太く柔らかいアナログサウンドといった印象のアルバムですが、楽器の音色やバランス、定位などは曲ごとに違っています。もちろんその曲ごとに最適なチョイスをしているのでしょう。
例えば1曲目「そよ風のきみ」と2曲目「傷心」では、スネアドラムの音色は似ているもののバスドラムの押し出し感は大きく異なっていますし、ハイハットの音像にも違いが感じられます。ツインのリードギターに関しても、「そよ風のきみ」では大きく左右に広げられていますが、「傷心」ではセンターにミックスされています。

明るく楽しいロックンロール・ナンバーの4曲目「ア・ノート・フロム・ユー」ではブリブリと鳴るブラスセクションがユーモラスな感じです。リードギターも空気感のある太い音で(かなりオフ・マイクで録音しているのでしょうか)ブラスに似せたサウンドになっているのが面白いと思いました。終盤に打ち鳴らされるタムは他の曲よりもアタックを強調しているようです。

ストレートなロックナンバーの6曲目「アイム・ア・ギャンブラー」は、どうやら3点定位にミキシングされているようです。ボーカル、コーラス、ドラム、ベース、リードギターはセンターに集められ、リフを弾く2本のエレキギターとカバサ(かな?)風のパーカッションは左右に大きく広げられています。パワフルであり、なんだか懐かしいような、独特の雰囲気になるミックスだと思います。

7曲目「エンドレス・フライト」は曲調やサウンドはとてもシリアスなのですが、歌詞は飛行機嫌いの人が機内でただひたすら怖がっているだけという、非常にユニークな曲です。間奏では他の曲のようにリードギターが入るのではなく、機内の会話が効果音として入ってきます。この会話はきちんと訳され歌詞カードに記載されていますが、本当に思わず笑ってしまうような内容です。こういったユーモアのセンスも抜群ですね。

そして、アレンジ・サウンドともに秀逸なのが8曲目「ぼくの写真をまっすぐに」です。かき鳴らされるアコースティックギターに音程感抜群のフレットレスベース、リバーブたっぷりのコンガ、メリハリの効いたドラムとエレキギター、ピアノの重低音も迫力たっぷりで、それらの組み合わせが本当に素晴らしいと思います。これらはすべてアンドリュー・ゴールドひとりによる演奏だということにも驚かされます。また、スリリングなストリングスのアレンジも素晴らしいですね。ちなみにストリングス・アレンジはデビッド・キャンベルです。

9曲目「10年間の想い」は、ピアノとオーケストラによるバラード・ナンバーですが、後半にはマーキソフォンという聞き慣れない名前の楽器が入ってきます。ハープシコードのような音色ですが細かなトレモロを伴っていて、独特の雰囲気を出しています。これもアンドリュー・ゴールドが演奏しているそうです。

ラスト10曲目「アイム・カミング・ホーム」は明るく安定感のある曲調で、アルバムの最後を飾るのにふさわしい曲だと思います。左右の定位や奥行きにも充分な広がりが感じられ、特にドラムは本当に気持ちよく広げられているといった印象です。


作詞・作曲・編曲・演奏・歌唱のすべてにおいて優れた才能とセンスを持つミュージシャンはそれほど多くないと思いますが、アンドリュー・ゴールドは紛れもなくその一人なのだと思います。そんな彼の神経が細部にまでいき届いたこのアルバムは、すべてのパーツが影響し合い、より高い完成度を誇っているのではないでしょうか。
歌詞の内容としては様々な形の孤独を歌ったものが多いのですが、曲によってシリアスであったりユーモラスであったりと、アレンジやサウンドも含めてバラエティに富んだ内容になっています。

いずれ大ヒット曲「ロンリー・ボーイ」を収録したセカンドアルバム『自画像』もレビューしたいと思います。
更新の滞っている私の事なので、いつになるかはわかりませんが…(苦笑)
(更新しました。こちらのリンクからどうぞ)





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