有栖川有栖「ジュリエットの悲鳴」

2011.07.04(Mon)


ジュリエットの悲鳴 (角川文庫)ジュリエットの悲鳴 (角川文庫)
(2001/08)
有栖川 有栖

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本のレビューは久しぶりですね。半年以上もの間があいてしまいました。すなわちこれがなんと今年最初の、ってことになります(冷汗)
さて、今回ご紹介するのは有栖川有栖「ジュリエットの悲鳴」です。これはショートショートを含む同名のミステリ短編集『ジュリエットの悲鳴』に収録されている作品です。

人気絶頂のロックバンド「トラジェディ」のCDに正体不明の女性の悲鳴がまぎれ込んでいる、という噂が広まっていた。誰が名付けたのか、それは「ジュリエットの悲鳴」と呼ばれている。この噂を心良く思っていないボーカリストのロミオは、とある女性ジャーナリストのインタビューに応えていくうちに、衝撃の過去を語りだす…。

論理的な本格ミステリにも定評のある有栖川有栖ですが、この作品はそれよりも作者のロマンチストな面が強く表れているように思います。切れ味の鋭いミステリを期待すると裏切られますが、ミステリ風味で余韻の深い、どちらかというとセンチメンタルな味わいの作品といった印象で、それは悲劇的な結末を予感させるラストシーンからも感じ取ることができるでしょう。
なんのこっちゃわけわからんぞ、と思われる方も多いでしょうが,これ以上物語の内容に触れるとネタバレになってしまいそうなので、このあたりでご勘弁を…。


さて、最近ではあまり聞かなくなりましたが、レコードの中にオカシな声が聞こえるという噂は本当に昔からよくありました。私も学生の頃にそんな噂のあるヒット曲のレコードを持っていた友達の家で、興味本位で聴いてみたことがあります。思いのほかはっきりと聞こえて、ゾッとしたという記憶が残っていますが…。

これって一体どういう現象なのでしょうか。霊的で超自然的な現象である、というのもロマンチックで素敵なのですが、その他の可能性はあるのでしょうか。
もちろん意図して録音されたものではなく、なおかつこの「ジュリエットの悲鳴」に書かれている噂の通り、マスターテープにも録音されていないという前提で考えてみます。

通常、ポピュラーミュージックはそれぞれの楽器演奏やボーカル等を別々に録音し、後にそれらすべての音をミキシングしてマスターテープを完成させます。この時点で問題なかったとするならば、その後レコードに何らかの音声が混入してしまう可能性があるのは、録音メディアが入れ替わる「マスタリング」と「プレス」と呼ばれる2つのプロセスでしょう。
ただしプレスの段階ですべての製品に何らかのノイズが混入することはまずあり得ないでしょうし、マスタリング時は音声に対するチェックが非常に厳しいので、こちらの可能性も低いはずです。

ところで、アナログレコードの製作過程では録音メディアの周波数特性の違いによって、マスタリングやプレスの段階で音質が変化する事は避けられません。プロフェッショナルの現場ではそこまで想定して音作りがされているのですが、その音質変化によって予想外の合成音が生まれてしまう、もしくはマスキングされて聞こえなかったはずの合成音が目立ってしまった、という現象はあり得るような気がします。それがたまたま人の声のように聞こえた…というのが一番可能性の大きな説なのではないでしょうか。少なくとも外部から予想外のノイズが混入したと考えるよりは合理的だと思われます。
いずれにしても、いくつもの厳しいチェックを偶然くぐり抜けてしまった結果には違いないでしょう。

しかし、音楽の製作過程がほぼ全面的にデジタルになってしまった現代では、メディアによる周波数特性の差や音質変化はほとんど皆無と言えます。最近このテの都市伝説(?)を聞くことがなくなってしまったのは、そのあたりに原因があるのでしょう。

もし、霊的な現象だとしたら…。現代の霊はその怨念を晴らすために、デジタルデータの書き換えをしなければなりません。そうしないと音楽の中に悲鳴や呻き声を潜ませることはできない訳です。アナログだったら気合いでなんとかなりそうですけどね(笑)。

「やりにくい世の中になったな」などという霊の愚痴が聞こえてきそうです。


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COMMENT

PATTI

さはんじさん、これってまさに、あれですよね、あれ…
怖いな〜、でも、そうじゃないかも。
ロミオのバンドが悲劇で、聞こえる声がジュリエットの~って、洒落てますね。

2012.08.17(Fri) 18:19 | URL | EDIT

さはんじ

Re:

>PATTIさん
コメントありがとうございます。

まさに、あれですね。現象としては。
できればしっかりと解明したかったのですけど、なかなか難しいものですね。

2012.08.21(Tue) 23:15 | URL | EDIT

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