スピッツ『インディゴ地平線』

2011.08.02(Tue)


インディゴ地平線インディゴ地平線
(1996/10/23)
スピッツ

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今回は1996年に発表されたスピッツ7枚目のアルバム『インディゴ地平線』です。
「渚」「チェリー」といったシングルヒット曲を収録したこのアルバムはもちろんミリオンヒットとなりました。
2002年にリマスタリング版が再発売され、現在オリジナル版は廃盤となっていますが、なにしろミリオンヒットのアルバムですから、巷に出回っているのは圧倒的にオリジナル版の方が多いと思われます。リマスタリング版のサウンドはおそらくオリジナル版とは大きく違っていると思いますが(私はまだ聴いてないので)、ここでは1996年のオリジナル版CDについてレビューしていきます。

前作、1995年に発表されたアルバム『ハチミツ』は、荒っぽくも元気がよくクッキリとしたサウンドで、私は結構好きだったのですが、この『インディゴ地平線』はまったく印象の異なったサウンドに仕上がっています。
全体的にヌケの悪いくぐもったようなサウンドは、好意的に解釈すれば、よりハードで太いロックサウンドとか、バンドとしての一体感のあるサウンドなどと言うこともできるでしょうが、私としては1970年代ならいざ知らず、1990年代ポップスでこの音はないんじゃないの? などと思ってしまいます。

ドラムはパワー感を重視しているせいなのか、特にスネアのヌケに物足りないものを感じます。シンバルやハイハット等も基本的には奥まっています。クラッシュシンバル等は部分的に前面に出て来ることもありますが、高音が削られているのか歯切れの良いアタック感はなく、サスティン(余韻)の強調された、やたらと音像の大きな音といった印象です。
また、エレキギターはアンプの箱鳴りを充分に感じられる図太い音がメインとなっていますが、その分高域成分は少ないようで、結果的にこちらもヌケの悪さに繋がってしまっているようです。
ボーカルはナチュラルなサウンドと言えますが、男性としてはハイトーンであるもののハスキーな声質ですから、ヌケの良いサウンドには繋がらないですね。

1曲目「花泥棒」のイントロは歪んだエレキギターのアルペジオで始まりますが、その時かすかに“ザー”という音が聞こえます。これはたぶんスネアドラムの響き線がギターの音に共振している音だと思いますが、こういった音をあえて使用する(カットするのは非常に簡単です)所に、バンドサウンドのリアリティに対するこだわりが感じられます。

2曲目「初恋クレイジー」のイントロでは、アコースティックピアノとシンバルのカップ音に生々しさが感じられますが、ドラムとギターが入ってくると途端に高域はマスキングされ、こもったような音になってしまいます。間奏のハーモニカはいい感じに聞こえますね。

ちょっと変わったシーケンスサウンドで始まる4曲目の「渚」は独特のアレンジが面白く、特にイントロの雰囲気などは個人的に好きだったりします。軽めのドラムサウンドが特徴的で、スピッツらしい多彩なギターサウンドが聴ける曲ですが、全体的にはやっぱりヌケのよくない感じが否めません。

女性の可愛らしい台詞で始まる6曲目「ナナへの気持ち」は、このサウンドを逆手にとったように、サビ前まではシンバル等のカナモノが一切入ってきません(冒頭に一発だけ入ってますが)。後半のライドシンバルもかなり控えめです。
間奏ではテープの早回しのような女性の声が聞こえますが、再生ピッチを落とすと思いのほかはっきりと内容を聞き取ることができました。どうやら映画の内容について話しているみたいです。

深いリバーブがかかり、他の曲とはちょっと違った雰囲気を持つ7曲目「虹を越えて」や、左右に揺れるスキャットやロングディレイのかかったボーカル、そして独特な響きを持ったドラムが印象的な9曲目「ほうき星」、懐かしいミュージックコンクレート風のイントロと、尺八のような奏法のフルートが聴ける10曲目「マフラーマン」など、サウンド的にも凝った楽曲が揃っていますが、どうしてもトータル的なサウンドがアルバム全体のカラフルな色合いを薄くしてしまっているような気がしてなりません。

12曲目の「チェリー」もサウンド的には似ていますが、この曲はスネアのヌケが良く、またエレキギターのカッティングが他の曲に比べて細いサウンドになっていて、全体的にスッキリとした印象になっています。ライナーノーツによるとこの曲だけミキシングエンジニアが違うようですね。サビからはギターの数が増えサウンドは分厚くなります。また、後半からはストリングスとデキシーランドジャズのようなブラス(サックスとクラリネットかな)が加わりさらに盛り上がりますが、混乱した感じは無く、きれいにまとめられていると思います。


多彩でバラエティに富み、キャッチーな楽曲が揃っているアルバムなだけに、全体的に統一され(てしまっ)たこのサウンドが残念でなりません。冒頭で触れたリマスタリング版のサウンドがどうなっているのか、非常に興味深いのですが、まだ聴く機会がないんですよね。すでに所有しているCDを買い直すのも抵抗あるし…。ちなみに大手レンタルショップにはこのオリジナル版が置いてありました。
もしも聴き比べる機会があれば、またここでレビューしたいと思います。
…機会、あるかな~(笑)


  


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