山下達郎『RAY OF HOPE』

2011.09.15(Thu)


Ray Of HopeRay Of Hope
(2011/08/10)
山下達郎

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2011年8月10日に山下達郎のアルバム『レイ・オブ・ホープ』が発売されました。ジャケットおよびブックレットには本人の所有する楽器や機材の写真がコラージュされていて、これだけでもちょっとわくわくしてしまいますね。6年前に発表された前作『ソノリテ』で大きく変化してしまったサウンドが、今作ではどのようになっているのか、期待半分、不安半分、非常に興味をそそられます。
ところで、このブログが始まって以来、なんとこれが初めての新譜(とは言っても1ヶ月以上経っていますが)のレビューとなります。

1曲目はプレリュードとして「希望という名の光」から抜粋した短いアカペラのコーラスが収録されています。実に山下達郎らしいオープニングでニヤリとしてしまいますが、思いのほか硬い音で、高音域の強調されたリバーブに少し違和感のようなものを感じてしまいました。

続く2曲目「NEVER GROW OLD」は、ヘビーなベースとピアノが鳴り響く、印象的でインパクトのあるイントロから始まります。続いて無遠慮に入ってくるシンセサイザーの硬質な低音に、ふと『ソノリテ』のサウンドふたたび? と思ってしまいました。が、ハイハットやボーカルが入り徐々に厚くなっていくサウンドには奥行きや広がりがしっかりと感じられます。曲全体を通して最前面で鳴る無遠慮(?)なシンセベースも、サウンドのコントラストとして捉えればアリですね。アレンジの構成が『ソノリテ』からの(サウンド的な)脱却を主張しているようで、嬉しくなってしまいます。とは言っても、これは昨年CMソングとして作られた楽曲なので、完全に私の思い過ごしなのですけどね(笑)。全体的に少しシンセサイザー臭さが気になりますが、なかなかいい感じの曲です。

3曲目の「希望という名の光」以降、音の厚み・奥行き・広がりなど、私の思う「山下達郎らしいサウンド」が続き、不安は完全に払拭されました。
全体にボーカルは少しハイ上がりな感じで、明瞭度の高い今風のサウンドといった印象です。ドラムは打ち込みと生演奏がありますが、どちらも地味な音色で出しゃばらず、オケに馴染んでいる感じです。生のストリングスも全体的に控えめにミックスされているようです。ベースは太くて重い、これも今風のサウンドなのでしょうね。
強いて言えばアコースティックギターと、曲によってはピアノのサウンドが硬くて少し違和感があるかな、と思いました。

7曲目「俺の空」は、バラードが多いこのアルバムの中で異色な、かつてアルバム『FOR YOU』に収録されていた「Hey Reporter!」のようなヘビーファンクな曲です。エフェクティブなボーカルと、エレキギターがいい感じですが、もっともっとハードで滅茶苦茶なサウンドでも面白いんじゃない? なんて思ってしまいました。でも、それこそアルバムの中で浮き過ぎてしまうかな。

11曲目「MY MORNING PRAYER」は朝のTVニュースショーのテーマソングです。このアルバムのスペシャルサイトによると、TV用バージョンは東日本大震災直後の最悪の電源事情の中で録音したため、このアルバムではボーカルとストリングス以外を全て再録音して音質向上を試みたとのことです。
でも、やっぱりサウンドは高音域がザラついた粗い感じがしますね。その電源が原因なのかかどうかはわかりませんし、もしかしたらアコギの音の質感がそう感じさせるのかもしれませんが、『COZY』の「ヘロン」のような滑らかさがほしいかなと思いました。

このアルバムはプレリュードとポストリュードを除いて12曲が収録されていますが、ドラマやCMなどのタイアップ曲がなんと9曲もあります。タイアップ曲は制作スケジュールがタイトなので、どうしても打ち込みの比率が多くなってしまうとの事ですが、これは少し残念ですね。色々なミュージシャンの個性が表れた演奏がもっと多く聴ければ、音楽的にもサウンド的にもさらに聴き応えのあるアルバムになるのではないでしょうか。

とは言え、6年待った甲斐のある(?)大満足のアルバムです。聴き込めば聴き込むほどにそう思いました。特に私はすべての曲のメロディー展開が好みのツボにドンピシャはまり、サウンドレビューを忘れて聴き入ってしまうことも少なくありませんでした。


また、このアルバムについて語るには東日本大震災の影響を無視するわけにはいかないでしょう。震災以前に作られた曲も多いのですが、それぞれの曲は「人の暮らし」がテーマになっていて、それがあの震災と結びついて心に迫ってきます。震災とは無関係であるはずの『俺の空』という曲でさえも、政治や大企業の思惑が庶民の小さな幸せを奪う、という内容からはあの忌まわしい原発事故を連想してしまいました。
そういった意味でも冷静にサウンドレビューをすることが難しかったです。
こういった社会的背景があるから特に、なのですが、やっぱり新譜のレビューってしんどいです、はい(笑)。


    


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