Toots Thielemans『THE WINDMILLS OF YOUR MIND』

2011.10.19(Wed)


風のささやき風のささやき
(2004/12/22)
トゥーツ・シールマンス

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10月も半ばを過ぎ、すっかり涼しくなってきました。なにか秋らしいCDのレビュー記事を書きたいと思い、CDラックから探し出したのがハーモニカの名手、トゥーツ・シールマンスの『風のささやき』です。ネット上の情報では1989年発表とありましたが、同年の12月に録音されているようなので、おそらく発表は1990年なのではないかと思います。日本で企画されたこのアルバムは当時、音の良いCDとしてオーディオ雑誌などにもよく紹介されていたように記憶しています。ちなみに米国盤では1曲目の収録曲である『FOOTPRINTS』がアルバムタイトルになっています。

1曲目、ウェイン・ショーター作曲の「フットプリンツ」は、湿った音色のウッドベースのリフから始まります。その後ピアノとドラムが入り、緊張感のあるリズムが構築されていきます。それぞれの音は実に生々しく、特にシンバルはスティックの先が当たるのが目の前に見えているかのように、細かいニュアンスまではっきり伝わってくるほどリアルなサウンドです。
そこにトゥーツ・シールマンスのハーモニカが入ってくるかと思いきや、メロディを演奏するのはエレキギターと口笛のユニゾンでした。もちろん演奏はトゥーツ・シールマンスです。ギターは丸く柔らかい、いかにもジャズギターといった感じの音ですが、強いピッキングでは弦の金属的な響きもしっかりと聞こえてきます。口笛は深めのリバーブがかかっていて、音程は若干アヤしい気もしますが、それが味となり何とも言えない雰囲気を作っています。何よりもこの滑らかな音色の気持ちよさは本当に素晴らしいと思います。
ピアノソロの後にようやくハーモニカが登場しますが、こちらも深みのある滑らかな音色で、さすがは「ハーモニカおじさん」トゥーツ・シールマンスと思わせてくれますね。
ギターにしても口笛にしても、もちろんハーモニカも、抑揚のある素晴らしい演奏なのは言うまでもありませんが、音色についても相当こだわっているように思います。

2曲目「ブルース・オン・タイム」は、メトロノームとハーモニカのみで演奏されます。メトロノームには深いリバーブがかかり、低音もしっかりと感じられる重い音です。本来無機質であるはずのメトロノームのリズムが、トゥーツ・シールマンスのハーモニカによって、いい感じにグルーヴして聞こえてきます。ほんとに凄いですね、この人は。

3曲目、エリック・サティの「ジムノペディ 第1番」は、ふたたびカルテットによる演奏になります。原曲よりもゆったりと優しい雰囲気の演奏で、このアルバムの中でイチオシという人も少なくないようです。このカルテットは、どの曲もそれぞれの楽器の音色とバランスが素晴らしく、どこをとっても聴き所といった感じですね。

4曲目「ラウンド・ミッドナイト」と9曲目「風のささやき」は、ハーモニカのソロ曲となっています。それぞれの作曲者セロニアス・モンクとミシェル・ルグランへのトリビュートという感じで、インプロビゼーションの中にお馴染みのメロディが浮かび上がるような演奏になっています。
ソロではハーモニカの深みのある音色はもとより、トゥーツ・シールマンスの息づかいもはっきりと聴き取れて、そのリアルなパフォーマンスに圧倒されます。

6曲目「ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ」と8曲目「ローラ」は、本人の演奏するギターとハーモニカのデュオ曲です。ライナーノーツには「Recorded Digitally Direct to 2 Track」とありますが、この2曲に関してはもちろんオーバーダブされているでしょう。「ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ」では2本のギターが使われていますしね。

明るい曲調の7曲目「ホワット・カインド・オブ・フール・アム・アイ」では演奏者の鼻歌(?)や掛け声、笑い声が聞こえてきて、セッションの楽しい雰囲気が伝わってきます。ただ、ガサガサとしたノイズっぽい低音が聞こえる部分があり、ちょっと残念な気がします。これって何の音なんだろ?

ふたたびギターと口笛のユニゾンによる10曲目「サルトリー・セレナーデ」と、このアルバムの中で最もアップテンポで転調の連続するラスト11曲目「C to G ジャム・ブルース」では、トゥーツ・シールマンス以外の演奏する楽器が少し奥まった感じがします。それまでは全ての楽器が目の前にあるかのようにリアルに聞こえていたのですが、この2曲では完全にトゥーツ・シールマンスが主役になってバックと区別されているように感じます。
アルバムの締めくくりとしてのサウンド的な演出と言えるかもしれませんね。


それにしても本当にトゥーツ・シールマンスの演奏は素晴らしいです。ハーモニカの音色はしっとりと秋らしいとも言えますが、このアルバムのサウンドはちょっと大きめの音量でじっくりと楽しみたいものです。





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2011.10.21(Fri) 22:48 | | EDIT

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