Fourplay『SNOWBOUND』

2011.11.29(Tue)


SnowboundSnowbound
(1999/10/15)
Fourplay

商品詳細を見る


12月の声を聞くと、もう街はクリスマス気分であふれています。普段は早すぎるクリスマスムードにあきれ顔の私なのですが、今回は1999年に発表されたフォープレイのクリスマス企画アルバム『スノーバウンド』を取り上げてみました。典型的な(?)日本人である私はクリスマスに特別な思い入れはありませんが、このアルバムは大好きです。

フォープレイのサウンドといえば、エンジニアのドン・マレーは欠かせない存在のはずでしたが、このアルバムに関しては違うようです。アシスタントエンジニアとしてクレジットはされているものの、ミキシングエンジニアはビル・シュニーが務めていますね。
そのためか、フォープレイのアルバム独特の太く重い低音や全体の密度感はやや控えめになっていて、その分、全体のサウンドはすっきりとしている印象です。おなじみの曲のカバーが多く収録されているクリスマス企画アルバムには、よくマッチしたサウンドと言えるでしょう。

クリスマスらしく鈴の音から始まる1曲目「あらののはてに」は、賛美歌の面影は微塵も無く、明るく楽しいポップなコンテンポラリーチューンにアレンジされています(お、なんか今日は形容の調子がいいかしらん?)。
歯切れの良いドラムはやや控えめにミックスされていて、全体の雰囲気がポップになりすぎないように配慮されているようです。軽快なボブ・ジェームスのピアノと、なめらかなラリー・カールトンのギターが気持ちいいですね。

1曲目の鈴の音がフェードアウトし切らないうちにウインドベルから始まる2曲目は、これも賛美歌の「天にはさかえ」です。こちらは穏やかなジャズバラードといった感じで、レンジ感たっぷりのピアノや部分的に使われているフレットレスベースが良い雰囲気を作っています。この曲の鈴は左右のチャンネルの間を揺れるように移動しています。

3曲目は柔らかいホーンセクションのサウンドが印象的な「スノーバウンド」です。ドナルド・フェイゲンのこの曲はクリスマスソングではないと思いますが、すごい所から選曲したなあという感じですね。ドラムのサウンドは1曲目「あらののはてに」と似ていますが、こちらはもっと前面に出てリズムのメリハリを作っています。
オクターブ奏法でメロディを奏でるギターはとてもジャジーな雰囲気ですが、アドリブパートではフュージョン的なプレイを聴かせてくれます。ピッキングの強弱でオーバードライブの具合をコントロールする、ラリー・カールトンの真骨頂ともいえるプレイは圧巻で、そのサウンドの表情の変化はこの曲の最大の聴き所だと思います。

エリック・ベネイのボーカルをフィーチャーした4曲目「ザ・クリスマス・ソング」はオシャレなR&Bに仕上がっています。サンプリングのバスドラム(?)と硬質なフィンガースナップ(?)、それにハイハットはどうやら打ち込みのようです。ハービー・メイスンはシンバルだけを演奏しているのかな? 間奏はギターのようですが、ネイザン・イーストのスキャットがユニゾンしている部分があるので、ギターではなくピッコロベースなのでしょう。
キラキラとしたキーボード類とアコースティックギターが印象的です。

ボブ・ジェームス作曲の5曲目「アイヴィー・ヴァリエーションズ」はこのアルバムで唯一のオリジナル曲ということになるのでしょうか。いかにもクリスマスらしいフレーズをどんどん展開して、演奏もサウンドもタイトル通りに様々なバリエーションを聴かせてくれます。超一流スタジオミュージシャンの集合体であるフォープレイの面目躍如といった感じの曲ですね。

6曲目、ジョニ・ミッチェルの「リヴァー」は、あっと驚くような斬新なアレンジになっています。ハービー・メイスンのスピーディーなブラシワークは見事の一言ですね。ギターはエレクトリック・アコースティックギター(あー、長っ。以下エレアコで)が効果的に使われています。色々なライブでは大活躍のエレアコもスタジオでのレコーディングにはあまり使われないような気がしますが、そういえばエレアコも演奏の強弱で大きくサウンドが変わる楽器です。名手ラリー・カールトンの手にかかると、こんなにも魅力的な楽器になるんですね。

余談ですが、ラリー・カールトンがどんなギターを弾いているか書いてあるかなと思ってライナーノーツを見ると、「LARRY CARLTON USES D'ADDARIO STRINGS.」とだけ記載がありました。は? 弦だけですか。
ベースはメーカー名や種類、アンプや弦、さらにはダイレクトボックスに至るまで記載されているし、ドラムに関してはドラムセットの他にシンバル、スティック、ドラムヘッドまで書いてあるのに、弦だけなんですか、カールトンさん(笑)。

7曲目「アメージング・グレース」、8曲目「クリスマスがやって来た」、9曲目「サンタが街にやってくる」と、お馴染みの曲がオシャレなジャズ・チューンとして続きます。イントロにホーンセクションをフィーチャーした「サンタが街にやってくる」は、ビッグバンド・ジャズのような雰囲気で始まりますが、テーマに入ると落ち着いた4ビートジャズになります。ロングディレイを効かせたギター、ダイナミクスを感じさせるピアノや深みのあるスネアのサウンドは非常に心地いいですね。

10曲目「神の御子のイエス様は」、11曲目「メリー・リトル・ストロール」はゆったりとした、ちょっと神秘的な雰囲気のあるバラードです。こんな風にしっとりとした感じで終わるのかなと思わせる選曲のラスト12曲目「ほたるのひかり」は、一転、明るく元気なアレンジで、このアルバムを締めくくります。なんだかカーテンコール付きのフィナーレのようで、笑ってしまいました。この曲に「閉店ガラガラ」(By 岡田クン)みたいなイメージを持ってしまうのは日本人だけなんでしょうかねえ。


フォープレイはボブ・ジェームスがMIDIピアノをプレイしている事もありシンセサイザーをかなり多用していますが、音色選択のセンスが非常に素晴らしく、まったく違和感を感じませんし、もちろんギター、ベース、ドラム等のサウンドも文句のつけようがありません。前述の通り、この『スノーバウンド』はフォープレイのアルバムとしては重量感・密度感ともに控えめのサウンドになっていますが、それがかえってリスナーに余裕を与えて、リラックスできるクリスマスアルバムとして成功しているのではないかと思います。
メリハリもインパクトもあるのに、全体に柔らかく、耳にイタイところがない、まろやかなサウンド、といったところでしょうか。
ちょっと軽薄な言葉で好きではありませんが、ジャジーでオシャレな(うわっ)大人のクリスマスアルバムとしてお勧めしたいCDです。

良い音のCDを一枚挙げろと言われたら、私はこのアルバムを推しますね。…たぶん(笑)。


  


  よろしければランキング投票をお願いします→ 

COMMENT

PATTI

No title

さはんじさん、こんにちわ!

このレヴューも面白かったです。季節もまさにクリスマスv-237
YouTubeでライヴバージョンのアメージンググレースを
聞きました。

1988年から2000年くらいまでは完全に音楽を
離れ、ひたすら育児の毎日で、
90年代の音楽は全く知りません、浦島太郎です(笑)

こんないいアルバムがあったことも知りませんでした。

またいろいろ教えてください。
よろしくおねがいします。

2011.12.13(Tue) 12:27 | URL | EDIT

さはんじ

Re: No title

>PATTIさん
コメントありがとうございます!

タイムリーなレビューにはいつも憧れているんですが、なかなか実現できません。
実は昨年からこのアルバムレビューをこの時期にしようと狙っていた事は秘密です(^^;

私は2000年以降の比較的新しい音楽をあまり聞いていないという弱点を持っています。
こちらこそ色々と教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

2011.12.14(Wed) 14:09 | URL | EDIT

POST COMMENT


プロフィール

さはんじ

Author:さはんじ

FC2カウンター

ブログランキング参加中


にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村
ブログランキングならblogram

おきてがみ


足あとを残せます。

アーカイブ

 

検索フォーム

Amazon 特集情報



Google AdSense

まずは「知る」ことが大切


blogram

にほんブログ村ランキング

↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。